建設現場の視界不良を遠隔監視、アーキット「AI見通し検知くん」がNETIS登録:製品動向
アーキットと北海道の新谷建設が共同開発したAI画像解析による安全管理システム「AI見通し検知くん」が、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録された。
アーキットは2024年10月7日、北海道の新谷建設と共同開発したAI画像解析による安全管理システム「AI見通し検知くん」が、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(New Technology Information System)」に登録されたと発表した。
AI見通し検知くんは、現場に設置したネットワークカメラの映像をAIで解析し、視界不良の遠隔監視、視界状況の数値化、アラームの発出などを行うシステムだ。現場に設置した視程看板をもとに、200メートル、150メートル、100メートル、50メートルと距離ごとの視程を計算する。解析結果はPCやスマートフォン、メールで確認できる他、現場の入り口や道路の脇などに設置した電光掲示板や回転灯でも通知可能。また、判別結果はリアルタイムで表示し、帳票化にも対応する。
周辺環境の要因も計算し、人の感覚に近い判定
従来、現場の視程は人の目で確認しており、猛吹雪や濃霧などによる視界不良で移動が困難な中、安全確認のために危険な場所に向かう必要があった。AI見通し検知くんを活用することで、遠隔で現地の視界状況を確認できるようになる他、従来主観で判断していた視程をAIが判断することで、平準化した安全管理が可能になる。
また、従来の視程計は散乱された赤外光の強さを計測するため、急な降雪や季節の影響など、人間の主観に寄った判定が難しかった。AI見通し検知くんは現場での利用を想定して開発し、看板による判定に加えて、季節や雪の降雪状況など周辺環境の要因も計算。より人間の感覚に近い判定を目指している。
システム利用料は、初期費用がカメラのレンタル料金(1〜5カ月)2万円(送料別)と視程計看板レンタル料1枚5000円、月額費用としてカメラのレンタル料金2万3000円、AIシステム利用料4万円、視程計看板レンタル料1枚3000円。オプションで回転灯や電光掲示板、ソーラーバッテリーなどもレンタルできる。また、AIは利用時のみの料金で、未使用時は通常のネットワークカメラとして利用できる。
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