「価格転嫁できている」企業は8割に、転嫁率44.9%まで上昇 TDB調査:調査レポート
帝国データバンクが実施した価格転嫁に関する実態調査によると、2024年7月の時点で、8割近くの企業がコスト上昇分を価格転嫁できていることが分かった。価格転嫁率は44.9%と調査開始以来最高となった一方、依然として残りの5割以上を企業が負担していることが明らかになった。
帝国データバンクは2024年8月28日、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率が、2024年7月時点で44.9%になったと明らかにした。2024年2月の前回調査から4.3ポイント上昇し、調査開始以来最高となった一方で、依然として残りの5割以上を企業が負担していることが分かった。
建設/不動産業の価格転嫁率は、「建材卸売」が62.4%と最も高く、「建材製造」が49.2%、「建設業」が43.7%、「不動産業」が30.7%だった。いずれも前回調査から6%前後で改善しており、「価格高騰がユーザー目線でも一般化してきたため、価格転嫁が進んでいる」との地方建設会社からの声も寄せられている。
帝国データバンクでは、全国2万7191社(有効回答企業数1万1282社)を対象に、現在の価格転嫁に関する企業の見解について調査した。自社の主な商品の販売価格やサービス料金に、コストの上昇分をどの程度転嫁できているかを聞いたところ、「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は78.4%と8割近くを占めた。
転嫁率の内訳は、「5割以上8割未満」が20.2%と最多で、「2割未満」が19.6%、「2割以上5割未満」が18.6%、「8割以上」が15.5%と続いた。「10割」と回答した企業も4.6%あった。一方で、「全く価格転嫁できない」との回答は10.9%で、前回調査から1.8ポイント減少したものの、依然として1割を超えている。
業種別の転嫁率は、「化学品卸売」が65.0%で最も高く、次いで「鉄鋼/非鉄/鉱業製品卸売」の63.0%。いわゆる「物流の2024年問題」に直面している「運輸/倉庫」は前回調査から7.1ポイント増加し、34.9%と3割台に到達した。一方、「飲食店」は前回調査から0.7ポイント減の36.0%、「飲食料品小売」では同3.1ポイント減の40.9%と転嫁率が後退し、業種間で格差が広がりつつある傾向が見られた。
帝国データバンクによると、価格転嫁に対する理解は浸透し、実際に転嫁が少しずつ進んでいるものの、原材料価格の高止まりや人件費の高騰、消費者の節約志向などを背景に「これ以上の価格転嫁は厳しい」といった声も多数寄せられているという。こうした状況により、進み出した価格転嫁が今後頭打ちになる可能性もあると指摘した。
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