建設業の24%で「2024年度は減収減益」の見通し 下振れ材料は人手不足の深刻化:調査レポート
帝国データバンクは、2024年度の業績見通しに関する企業の意識調査の結果を公表し、業界別では、建設業の24.2%が減収減益を見込んでおり、増収増益の見通しの22.5%を上回ることが分かった。
帝国データバンクは2024年4月23日、2024年度の業績見通しに関する企業の意識調査の結果を発表した。増収増益を見込んでいる企業は前年の26.4%とほぼ同水準の26.3%を占めることが分かった。減収減益の見通しは21%で、前年から0.7ポイント上昇し、4年ぶりに増加した。
一方、業界別でみると、建設業では24.2%が減収減益を見込んでおり、増収増益の見通しの22.5%を上回った。
増収増益見込みの割合を業界別でみると、金融業が32.5%で最も高く、サービス業の30.8%が続いた。サービス業のうち、ポストコロナで来店客が増加している飲食業では40.8%、旅館/ホテル業は40.4%が増収増益を見込んでいた。
減収減益見通しの割合は小売業の25.4%が最多で、続く建設業の24.2%と2つの業界で、減収減益が増収増益の見通しを上回った。また、製造業の22.7%、不動産業の21.5%、卸売業の20.5%で、減収減益の見通しが2割を超えた。
業績の下振れ材料は4割が「人手不足の深刻化」と回答
2024年度の業績見通しを上振れさせる材料について聞くと、「個人消費の回復」が37.3%で2年連続トップとなり、「所得の増加」の24.1%、「原油/素材価格の動向」の20.1%、「人手不足の緩和」の19.0%が続いた。
一方で、業績を下振れさせる材料については、「人手不足の深刻化」が約4割で39.4%と5年ぶりに最多となった。「原油/素材価格の動向」は前年から11.9ポイント減少し33.3%に、さらに「個人消費の一段の低迷」の28.6%、「2024年問題」の27.5%の順。特に「2024年問題」と回答した企業は、運輸/倉庫業が49.1%と約半数、建設業も約4割の39.6%にのぼるなど、2024年4月から新たに時間外労働上限規制の対象になった業界で、全体を大きく上回った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:建設業の約7割が「人手不足」 前回調査から微増、改善傾向見られず
帝国データバンクは人手不足に対する企業の最新動向を公表した。建設業では人手不足を実感している企業が約7割で、前回調査から3.6ポイント上昇し、深刻さが増している状況が浮き彫りになった。 - 産業動向:建設業の2023年倒産件数、前年比で4割増に 1600件超えは8年ぶり
帝国データバンクは、2023年に発生した建設業者の倒産件数が前年比で4割増加し、1671件になったと発表した。1600件を超えるのは8年ぶりで、増加率が3割を超えるのは2000年以降で初めて。「2024年問題」で今後さらに倒産が増加する可能性があるとの見方を示した。 - 調査レポート:建設業の「2024年注目キーワード」は、目前に迫るあの問題
帝国データバンクが2024年の注目キーワードに関する企業向けアンケートを実施した結果、建設業では約7割が「人手不足/人材確保」、6割が「2024年問題」と回答した。全体業種のランキングで見ても、人手不足に関連するキーワードは前年の調査から大きく上昇した。 - 調査レポート:TDBがインボイス制度の対応状況を調査「企業の65.1%が順調に対応も、懸念アリ9割」
帝国データバンクは、企業のインボイス制度への対応状況や懸念事項についてのアンケート調査結果を発表した。65.1%がインボイス制度に順調に対応できているとした一方で、91.0%が導入による懸念事項があると答えている。 - 調査レポート:「建設業の倒産は上期841件、人手不足要因は全業種最多の51件」TDB全国企業倒産集計
帝国データバンクの集計によると、2023年度上半期の企業倒産は全国で4208件だった。建設業の倒産は、資材価格の高止まりや人手不足を要因に全業種中で3番目に多く、前年同期の622件から841件に増え、35.2%増となった。 - 産業動向:歯止めが掛からない建設業の倒産、過去5年で最多予測 深刻な「職人不足」で淘汰加速
建設業の倒産に、歯止めが掛からない状態が続いている。8月までの累計で1000件を突破し、年内の倒産件数は1600件を超え、過去5年で最多となる見通しだ。その要因には、建材費の高騰に加え、コロナ前を上回る深刻な人手不足があるという。