「築地市場跡地」に5万人収容イベント施設など、三井不グループが再開発事業者に 全体完成は2038年度:プロジェクト(2/2 ページ)
東京都は「築地市場跡地」の再開発で、三井不動産を代表とする企業グループを事業者に決定した。計画では、先行して開発する「にぎわい施設」を2025年度中に着工し、その後に約5万人収容するイベント施設などの街区工事に入り、全体完成は2038年度を見込む。
街づくりの全ての段階で、CO2排出実質ゼロを目指す
敷地内には他に、ホテル棟2棟、レジデンス棟、オフィス/レジデンス棟、ライフサイエンス/商業複合棟、オフィス棟、舟運/シアターホール複合棟、MICE/ホテル/レジデンス棟の計9施設を建設する。
このうち、MICE施設は、1200人規模のボールルームを中心に、東京ビッグサイトや東京国際フォーラムといった国内有数の展示場の中間に位置する築地に、国際学会や数万人規模のイベントに応える総合MICE機能を備えた規模とする。舟運/シアターホール複合棟には、日本の食産業や文化の発展を促す拠点「築地クリナリーセンター」と、1200人を収容する文化施設「シアターホール」も新設する。
ライフサイエンス/商業複合棟やオフィス棟には、健康長寿社会の研究都市を目指し、ライフサイエンスやバイオテクノロジー、AIなどの先端研究機能と関連オフィスの導入、国立がん研究センター隣接エリアにはライフサイエンス分野をけん引するラボやインキュベーション施設も計画。
周辺交通は、将来の地下鉄新駅を見据え、バス、自動運転車などの陸上交通機能が乗り入れる交通広場に加え、ヘリポートや空飛ぶクルマのポートの他、海運では隅田川と東京湾に面する築地の立地を生かして、築地川沿いに新たな船着場を設ける。
街全体での環境配慮の取り組みでは、隅田川の河川水熱を利用した熱供給施設を設けるなど、再生可能または未利用エネルギーの活用による省エネルギー化を図り、街づくりの全ての段階でCO2排出実質ゼロの実現を掲げる。緑化では、緑被率40%を確保し、国産木材活用による自然との共生と炭素固定の促進を図る。
今後のスケジュールでは、2024年度内に都と事業予定者が基本協定を結び、2025年度に先行して開発するにぎわい施設に着工。その後、2026年度中に定期借地権設定契約を締結し、第一期建築工事は2032年度、第二期工事は2038年度のそれぞれ完成を予定している。
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