電動一輪車で建設現場の運搬を効率化、作業時間を3割短縮:製品動向
CuboRexは日本道路とともに、電動一輪車を活用し、建設現場の運搬作業効率化を目指す実証実験を行った。一般的な一輪車での作業と比較して、75キロの荷物を運ぶ際に作業時間を約3割短縮し、作業員の疲労度も軽減した。
CuboRexは2023年2月28日、日本道路とともに、電動一輪車を活用して建設現場の運搬作業を効率化する実証実験を行ったと発表した。工事現場を模したフィールドで、運搬作業にCuboRexの「一輪車電動化キットE-cat kti2」を導入して一般的な一輪車との作業効率を比較したところ、75キロの荷物を運ぶ際の作業時間を約3割短縮した。
作業効率が向上し、疲労度も軽減
実証実験は2023年1月24日、日本道路が整備した研究開発のための複合施設「土浦テクノBASE」内の、工事現場を模したフィールドで実施した。一輪車に75キロのセメント袋を載せ、30メートルの距離を運搬する。地面の状況は勾配6.7%の敷き鉄板だ。電動一輪車と一般的な一輪車を使い、登板に要する時間を比較した。
さらに、作業員が電動一輪車を使用した際の肉体的負担軽減効果を5段階で評価し、作業効率の向上を実感した割合を包括的に調査した。また、実際の現場での使用感を8人にヒアリングし、定性的な効果を図った。
実証実験の結果、手動一輪車は運搬回数を重ねるごとに疲労が蓄積され、運搬にかかる所要時間が長くなる傾向にあった。電動一輪車を使用した場合は運搬労力が軽減されるため、毎回ほぼ一定の時間で運搬でき、手動と比較して作業時間を約30%短縮した。
作業後のアンケート調査では、電動一輪車を使用した全員が「通常の一輪車に比べて疲労度が少ない」「作業効率の向上を感じた」「今後も使い続けたい」と回答した。作業者からは「75キロの重量を載せても一輪車のバランスを取ることが容易で、勾配のある道もスムーズに走行可能だった」との感想も得られた。
建設業界の就業人口は年々減少し、高齢化も進行している。人材の有効活用と現場の生産性向上のためのDX推進は急務で、日本道路でも実験フィールドを整備し、省力化/省人化に向けた作業の機械化、ロボットの導入を推進している。
現場のさらなる効率化を目的に、今回、CuboRexと共同で電動一輪車の実証実験を行い、建設現場での作業効率向上に加え、作業員の負担軽減につながることを確認した。
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