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“電動の猫車”で作業効率1.65倍 東電PGの無電柱化工事で実証導入事例

CuboRexと東京電力パワーグリッドは、東京都渋谷区の無電柱化工事で、電動化した猫車/ねこ車を導入し、土砂運搬で作業効率化と時間短縮の効果を検証した。

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 CuboRexは、東京電力パワーグリッドと共同で2023年12月13日に、都心部の無電柱化工事で、電動一輪車の実証実験を実施したと2024年1月31日に公表した。実証の結果、電動一輪車の使用による作業時間の短縮と作業効率の向上が証明された。

運搬作業時間を40%短縮、1.65倍の作業効率向上が実現

 E-cat kit2は、手持ちの猫車(一輪車/手押し車)をタイヤ交換とアクセルレバーを取り付けるだけで電動化する電動アシストタイヤキット。電源を入れたらアクセルレバーを握るだけで、耐荷重100キロまでに応じる5段階のパワー調整により、重量物を登坂角度25度でも安定してスムーズに運べる。タイヤはオフロード仕様で悪路にも対応し、バッテリーによる稼働時間は約2時間。

一輪車電動化キット「E-cat kit2」
一輪車電動化キット「E-cat kit2」 出典:E-cat kit2Webサイト
5段階のパワー調整ができるアクセルレバー
5段階のパワー調整ができるアクセルレバー 出典:E-cat kit2Webサイト

 これまで地中設備工事の現場では、狭い道路内で重量物の運搬に労力を要すことが多く、体力的な負担が大きかった。東京電力パワーグリッドは、さまざまな現場で作業労力を軽減する方法を検討しており、狭あいな現場での運搬作業の労力削減に電動一輪車が使えるのではないかと考え、共同で実証実験を実施するに至った。

 実証実験は、東京都渋谷区鉢山町の無電柱化エリア供給工事で、電動一輪車を使用し、一般的な一輪車との作業効率を比較した。作業内容は、地中ケーブルの敷設に伴う開削や埋め戻し工事で、開削場所からトラックまでの小中距離運搬を多数往復。1度の運搬で約70キロ、合計で5立方メートルの土砂をアスファルト舗装の上を運んだ。

 その結果、通常の人力で動かす一輪車に比べ、電動一輪車の使用時は運搬作業時間が40%近く短縮し、1.65倍の作業効率が向上。土砂の運搬作業の短縮に伴い、埋め戻し作業で工程全体の時間削減にもつながり、運搬だけではなく工事全体の効率化にも寄与した。

東京都渋谷区鉢山町の無電柱化エリア供給工事に適用した「E-cat kit2」
東京都渋谷区鉢山町の無電柱化エリア供給工事に適用した「E-cat kit2」 出典:E-cat kit2プレスリリース

 ちなみに両者による電動一輪車の現場適用は、災害復旧での効果検証を目的に2023年12月にも行っている。その際は、山中の断線工事での出動を想定し、必要な資機材を山頂の現場まで運搬した。重さ56キロを作業員が背負って運ぶ場合と、電動一輪車利用の差を比べたところ、上り道の往路で57分、下の復路で約77分、それぞれ電動一輪車が早く到着した。そのため、運搬に携わる作業員の人数も加味すると、約4.2倍の効率化が見込まれる結果となった。

青梅市日の出町山中での電動一輪車を用いた山間部での重量物運搬
青梅市日の出町山中での電動一輪車を用いた山間部での重量物運搬 出典:E-cat kit2プレスリリース

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