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東京23区大規模オフィスビル市場、今後5年は供給が減少するが「大規模化」「都心部への集積」が進展:産業動向(2/2 ページ)
森ビルは、東京23区内の大規模オフィスビルを対象にした市場調査を実施した。調査結果からは、今後の供給が2023年と2025年に一定の供給が見込まれるものの、今後5年間の年平均供給量は過去平均を下回ることが判明した。
コロナ禍以降のリモートワークの普及とともに、オフィス再構築の流れが
吸収量(新規稼働床面積:前年末の空室面積+新規供給面積−当年末の空室面積)の内訳では、新築物件はオフィス供給(61万平方メートル)の9割弱(52万平方メートル)が吸収されている一方で、既存物件は新築物件への移転などによる解約が先行し、二次空室の埋め戻しに時間を要している様子が見られ、吸収量がマイナスに転じている。特に、主要ビジネスエリア以外のエリアでは、その傾向が顕著にみられる。
森ビルが2021年10月に実施した「東京23区オフィスニーズ調査」では、従業員のオフィス復帰(もしくは引き続きのオフィス勤務)のための課題として、「従業員が魅力的に感じるオフィス空間への改善・改修」や「従業員の通勤への負担・抵抗感の軽減」が上位に挙がっており、コロナ禍以降のリモートワークの普及とともに、単なる執務空間からコミュニケーションや人材教育・企業文化醸成の場、通勤したくなる場へとオフィスを再構築する企業各社の取り組みも見られつつあるという。
このような動きに呼応して、既に空室率はエリアや物件グレードによる違いが生じている。森ビルでは今後、さらにハード・ソフト両面で、企業の新たな働き方に寄与する商品力を備えた物件に、企業のオフィス需要が集まる傾向がより強くなるものと予想されるとしている。
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