大成建設がロボット統合管制プラットフォームを開発、異なるメーカーのロボットを連携:ロボット
大成建設は、施設内で稼働するさまざまなロボットの運用や建物設備との連携を一元管理するロボット統合管制プラットフォーム「RoboHUB」を開発した。RoboHUBは、適用することで、異なるメーカーの多様な機能を持つロボットを同時に接触なく稼働させ、設置されている建物設備との連携などが可能。今後は、大成建設が設計・施工を手掛けた病院で、ロボット運用計画や建物設備との連携を踏まえた施設設計を行い、2023年1月に運用を開始する。
大成建設は、施設内で稼働するさまざまなロボットの運用や建物設備との連携を一元管理するロボット統合管制プラットフォーム「RoboHUB」を開発したことを2022年6月6日に発表した。
全ロボットの稼働状況を一元的に管理し可視化
オフィスビル、商業施設、病院など、利用者の多い施設では、搬送や案内、清掃、警備といったさまざまなサービスを提供するロボットが同一空間で活用されることが期待されている。
しかし、現状では、同じ施設内で異なるメーカーのロボットを同時に稼働させようとすると、ロボット同士が接触する可能性があり、エレベーターや自動ドアといった建物設備との連携が難しいため、ロボットの稼働範囲や性能を限定せざるを得ない場合があった。
そこで、大成建設は、異なるメーカー製ロボットの稼働状況を一括管理し、建物設備などとの連携に対応する統合管制プラットフォームのRoboHUBを開発した。RoboHUBは、ロボットの制御システムとエレベーター、自動ドア、ナースコールなどの建物設備を統合接続により連携することで、施設管理者はロボットと建物設備の一元管理を実現する。
さらに、ロボットの位置やアラート発生状況を把握し、施設内における全ロボットの稼働状況を一元的に管理し可視化する他、異なるメーカー製ロボットの同時走行を管理し、交差点や狭い廊下などで役立つ優先走行制御の機能とエレベーターとの連携が行える。
加えて、自動火災報知器や地震速報など、建物から得られる緊急時の情報を取得し、ロボットが人が避難する際に障害物にならない場所で緊急停止するだけでなく、ロボットの稼働データを分析し、施設管理者が効率的なロボットの利用や建物設備運用などを検討できるツールを提供する。
既に、大成建設は、RoboHUBの実証実験を実施している。実証実験では、RoboHUBを用いて、大成建設の保有施設で稼働状況を可視化し、複数サービスロボット※1の走行管理と建物設備との連携を検証した。
※1 複数サービスロボット:中型搬送ロボット(オムロン社製)、警備ロボット(ZMP社製)、大型搬送ロボット(シンテックホズミ社製)、小型搬送ロボット(RiceRobotics社製)など。
その結果、異なるメーカーのロボットが同時に施設内で稼働することを確かめ、RoboHUBの有効性を確認。今後は、さまざまなロボットで検証を重ね、各種データを分析し、人とロボットが共存する最適な動線計画や建物設備と連携する施設設計を検討していく。
また、2023年1月より複数の病院※2で「RoboHUB」によるサービス提供を開始し、生産性の向上と人手不足の解消を目指して利用者や建物設備との連携を図りながら、ロボットが円滑に稼働する環境づくりと各種サービスによる新たな価値の創出に向けて取り組む。
※2 記念塔病院(札幌市、移転後の名称はさっぽろ病院)、多摩丘陵病院(町田市)など。
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