大林組らが金属箔複合シートで不燃化天井材を開発、重さはアルミ天井パネルの半分以下:新建材
大林組とTBMは、3層中空ハニカム構造にLIMEXを成形加工した軽量な中空シートの表面に、不燃材料である金属箔複合シートを貼ることで、「不燃化LIMEX製天井材」を開発した。基材に用いたLIMEX製中空シートは可燃物であるため、金属箔複合シートをその表面に貼ることで、国土交通省が定める不燃材料に適合した。また、今後はデザインの幅を広げるため、塗装を施した製品でも認定を取得する予定だ。
大林組は、同社が開発した「金属箔複合シート」による不燃化技術とTBM製の素材「LIMEX※1(ライメックス)」を利用した天井材を開発し、国土交通大臣が定める不燃材料認定を取得したことを2022年4月25日に発表した。
※1 LIMEX:炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材。LIMEXは、石灰石を主原料にプラスチックや紙の代替製品に成形し、使用後はリサイクルが可能。
取り付け用天井金物を含めても1m2当たり2000グラム以下となるように設計
建物の天井は、用途や規模に応じて建築基準法に基づき、「不燃材料」や「準不燃材料」を使用する必要がある。そのため、多くの天井には金属パネルや石こうボードが使用されているが、こういった天井材は重く、震災時などに落下による被害が想定されるため、東日本大震災以降、安全・安心な天井材へのニーズが高まっている。
そこで、大林組とTBMは、3層中空ハニカム構造にLIMEXを成形加工した軽量な中空シートの表面に、不燃材料である金属箔複合シートを貼ることで、「不燃化LIMEX製天井材」を開発した。
不燃化LIMEX製天井材の重さは1平方メートル当たり約1450グラムで、一般的なアルミ天井パネルの半分以下だ。さらに、取り付け用天井金物を含めても1平方メートル当たり2000グラム以下となるようにシステムで設計されているため、「特定天井※2」の扱いから除外され、震災時の安全性向上と施工コストの低減に役立つ。
※2 特定天井:「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」を指す。吊り天井で、居室、廊下その他の人が日常立ち入る場所に設けられるものや高さ6メートルを超える天井の部分で面積200平方メートルを超えるものを含むもの、天井面構成部等の単位面積質量が1平方メートル当たり2000グラムを超えるもの。
不燃化LIMEX製天井材で活用されているLIMEXは、従来のプラスチックと比較して製造時のCO2排出量を減らせ、低炭素化に貢献する素材。一方、不燃化のために表面に貼った金属箔複合シートは、剥がすだけで基材と分離できるため、LIMEXをリサイクルすることも可能。また、実証実験で再生品の品質も確認済みなので、サーキュラーエコノミーの実現も後押しする。
既に、大林組は、熊本県熊本市中央区で、建設を進める賃貸オフィスビル「日本生命熊本ビル」のエントランス用天井材として不燃化LIMEX製天井材を適用している。
日本生命熊本ビルは、熊本市中央区初の免震構造を有した賃貸オフィスビルで、地域防災の観点から、エントランス空間を施設利用者の帰宅困難者一時滞在スペースとして利用する計画のため、天井材として安全・安心に配慮した不燃化LIMEX製天井材を採用した。
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