手ぶらで現場に来ても次世代の施工管理が実現する分電盤デバイス、清水建設が“未来のヒルズ”新築工事に導入:導入事例(2/2 ページ)
清水建設は、2023年3月の竣工時に日本一の高さとなる虎ノ門・麻布台プロジェクトのA街区新築工事で、施工管理を効率化する分電盤タイプのデジタルデバイスを計127台導入し、施工管理の効率化をはじめ、超・超高層エリアでのWi-Fi網構築による自動搬送ロボットの自律運行や現場動画の送受信などに役立てている。
設計BIMを3Dプリンティング含めた施工段階にも活用
ロボット施工は、溶接に続き、資材の自動搬送、床貼り、巡回を行う自律型ロボットを順次投入。作業指示を与えて稼働するアシストロボットで、石膏(せっこう)ボードの切断や岩綿の吹付け、清掃などを行っている。
また、BIM生産連携では、設計者が作成した設計データをBIMモデルに一元化して、見積から発注、施工に至る各種業務を効率化する。例えば、鉄骨の見積・発注、複雑な形状をした部位の納まりや施工方法の検討、デジタル承認、3次元曲面部材の3DプリンティングなどのBIMデータ活用を展開している。
今後、清水建設ではA街区で培ったデジタルものづくりのノウハウを、国内外の他の現場にも水平展開していく考えを示している。
“ヒルズの未来形”を目指す「虎ノ門・麻布台プロジェクト」
森ビルや日本郵便が参画する虎ノ門・麻布台プロジェクトは、総延べ床面積は約86万1500平方メートル、オフィス総貸室面積は21万3900平方メートル、住宅戸数は約1400戸の規模を計画。開業後には就業者数約2万人、居住者数約3500人、想定年間来街者数2500〜3000万人を見込み、そのスケールとインパクトは六本木ヒルズに匹敵し、森ビルでは“ヒルズの未来形”と位置付けている。2021年2月にはA街区に、世界有数のスモールラグジュアリーリゾートとホテルを擁する「アマン」とのパートナーシップにより、スパなども備える91戸の高級住宅「アマンレジデンス 東京」、アマンの姉妹ブランドで日本初進出のラグジュアリーホテル「ジャヌ東京」が開業することも発表している。
施工者は、A街区(メインタワー)とB-2街区(東棟)が清水建設、B-1街区(西棟)が三井住友建設で、完成は全て2023年3月31日の予定。
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