NTT東日本と清水建設が建物運用のDXで協業、「DX-Core」を「地域エッジ」と連携:産業動向
NTT東日本と清水建設は、清水建設が開発したソフト「DX-Core」の運用ソリューションをNTT東日のコンピューティング基盤「地域エッジ」と組み合わせて自治体などに提供することで、導入コストとランニングコストの削減につなげる協業をスタートした。
NTT東日本と清水建設は、NTT東日本の「REIWAプロジェクト※1」で推進する地域活性化を支えるコンピューティング基盤と清水建設が開発したソフト「DX-Core※2」を接続・連携させ、建物に運用ソリューションをセキュアかつ低遅延で提供する共同実証を行うことを2021年7月15日に発表した。
※1 REIWAプロジェクト:NTT東日本のさまざまなアセットを活用して地域活性化を推進するプロジェクト。地域の情報を地域エッジで効率的に収集・分析し、それらをセキュアに流通させることで、地域社会全体でデータを共有と活用し、さまざまな分野の地域活性化を目指す。今回の共同実証は、NTT東日本のAI・IoTに関する技術やビジネスを共同で実証する環境である「スマートイノベーションラボ」で行う
※2 DX-Core:清水建設が開発した建物運用のDXを支援するオペレーティングシステム。建物内の建築設備やIoTデバイスの相互連携を容易にする建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた基本ソフトで、新築、既存を問わず実装可能。新築の場合、DX-Coreサーバと建物管理システム、セキュリティシステム、IoTデバイス、ネットワークインフラ、サービスアプリケーションを顧客ニーズに合わせてパッケージ化し備える
DX-CoreのシステムメンテナンスにNTT東日本の「ダイヤモンドサポート」を活用
NTT東日本は2019年に、同社のさまざまなアセットを活用して地域課題を解決することを目的としたREIWAプロジェクトをスタートした。一方、清水建設は2020年に、建物運用のDXを図るOSとしてDX-Coreを開発し、建物への実装を開始して、現在もサービスの多様化に向けた各種アプリケーションの開発を継続している。両社は、これらのサービスを接続・連携させることで双方に利点があるビジネス展開が可能になると考え、今回の協業に合意した。
協業の内容は、NTT東日本の高セキュアで低遅延なコンピューティング基盤「地域エッジ」とDX-Coreを連携させることで、同一地域に複数拠点を構える会社やスマートシティーの建物を運用する自治体などに対して、DX-Coreの運用ソリューションを地域エッジとパッケージで提供し、導入コストとランニングコストの削減につなげる。
協業に先駆けて、上記のパッケージソリューションを清水建設が江東区豊洲で開発を進める大型賃貸オフィス「MEBKS豊洲」に適用した。今後、両社は、パッケージソリューションを用いて、同一地域に複数拠点を構える不動産会社や銀行、チェーン店経営者、スーパーシティーとスマートシティーの運営者などに対して、建物の運用を効率化する付加価値向上のリノベーションを提案する。そうすることで、NTT東日本は地域活性化を支える地域エッジの利用者を増やし、清水建設はDX-Coreの新規契約者を増加させることを目指す。
なお、両社は、協業を建物運用ソリューションの提供だけに留めず、清水建設が全国に導入しているDX-Coreのシステムメンテナンス(リモート対応や現地でのエンジニアリング作業)にも拡大する予定だ。具体的には、NTT東日本が提供する保守運用業務トータルサポートサービス「ダイヤモンドサポート」のメニューに、DX-Coreのシステムメンテナンスをラインアップする見込みで、システムサポート業務の迅速化と効率化が期待される。
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