虎ノ門・麻布台プロジェクト、下水熱を地域冷暖房に活用:導入事例
虎ノ門エネルギーネットワークと東京都下水道局は、2023年に開業を予定する「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」における下水熱利用事業に関する協定を締結した。再生可能エネルギーである下水熱を、同開発事業の地域冷暖房の熱源の一部とする。
虎ノ門エネルギーネットワークと東京都下水道局は、2023年に開業予定の「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」における下水熱利用事業に関する協定を締結した。2021年9月に着工し、完工後の2023年4月から利用開始予定だ。
今回の協定締結により、従来は海や河川に捨てられていた、再生可能なエネルギーである下水熱を、同開発事業全域の冷暖房の熱源の一部とすることが可能になった。下水管路内底部に設置した熱交換器で熱交換を行う管底設置方式を採用、管底設置方式による下水熱の地域冷暖房への活用は、同事業が国内初の事例となる。
下水は、気温と比べ夏は冷たく冬は暖かい、日々の生活から発生するため都市内に安定的かつ豊富に存在する、熱回収時の環境への影響度が小さいなどのメリットがある。下水熱の活用促進により、都市部の省エネ化と低炭素化への貢献が期待される。
今回の下水熱を利用した空調システムは、一般的なシステムと比較してCO2排出量を年間で約70t削減できるという。再生可能エネルギーである下水熱の利用を拡大し、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す。
虎ノ門エネルギーネットワークは、同開発事業、および虎ノ門ヒルズビジネスタワーと(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」において、高効率かつBCP性能の高い電力・熱エネルギー供給体制の構築に取り組んでいる。大規模蓄熱槽、高効率熱源機、排熱利用設備を活用した熱製造システムや、大規模ガスコージェネレーションシステム(CGS)などの自家発電システムを導入し、災害時でも都市機能の継続に必要な電力・熱を供給し、安全・安心な都市づくりに貢献するとしている。
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