手ぶらで現場に来ても次世代の施工管理が実現する分電盤デバイス、清水建設が“未来のヒルズ”新築工事に導入:導入事例(1/2 ページ)
清水建設は、2023年3月の竣工時に日本一の高さとなる虎ノ門・麻布台プロジェクトのA街区新築工事で、施工管理を効率化する分電盤タイプのデジタルデバイスを計127台導入し、施工管理の効率化をはじめ、超・超高層エリアでのWi-Fi網構築による自動搬送ロボットの自律運行や現場動画の送受信などに役立てている。
清水建設は、2023年3月の竣工を目指し、港区で施工中の「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(虎ノ門・麻布台プロジェクト)A街区新築工事」で、建築工事現場のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」を実践して、最先端のデジタルなものづくり技術とリアルなものづくりの知恵を融合させた超大規模現場の施工にチャレンジしている。
その一環で現在は、現場内の通信やコミュニケーション、情報共有など施工管理のデジタル化を担う、新開発のデバイス「SmartStation」の配備を進め、近未来の現場事務所を想定した統合監視室から各種デジタル情報の集中監視を始めているという。
A街区の複合棟全体で計127台の「SmartStation」を設置
開発区域全体のメインタワーとなるA街区に新築する複合棟は、延べ床面積は約46万平方メートル、地下5階・地上64階(塔屋2階)建て、高さ約330メートルで、完成時には日本一高いビルとなる見通し(約390メートルの東京駅前常盤橋プロジェクトB棟が完成する2027年まで)。
2019年8月5日に着工後、施工を手掛ける清水建設では、規模相応の大物量及び曲線が多いデザインに対応する施工は難易度が高いため、生産性向上にはデジタル技術が欠かせないとしている。
新開発のSmartStationは、施工管理を効率化するデジタルデバイスで、分電盤の機能を備える。ベースタイプ「スマート分電盤」、タッチディスプレイ搭載の多機能タイプ「スマートステーション」の2種類があり、複合棟全体で計127台、スマートステーションは5フロアごとに各1台設置する。
共通の機能は、360度カメラによる監視、Wi-Fi環境の構築、遠隔からのブレーカー操作と使用電力量監視、トリップ(異常)監視など。スマートステーション固有の機能としては、Web会議、工程表などの帳票類や図面類の閲覧、分散朝礼のガイド、当日の現場作業内容や資材の搬入・揚重状況などの確認など。施工管理者や作業員は手ぶらで現場に出ても、スマートステーションを介して、必要な時に必要な人同士がコミュニケーションを図り、施工に関する必要な情報を得ることができる。また、建物全包囲のWi-Fi網の構築は、超・超高層エリアでも自動搬送などロボットの自律運行、写真・動画の高精細・低遅延での送受信を可能にするので、ストレスなくデジタルを活用した施工管理が行える。
A街区でのデジタル化の取り組みは、中期デジタル戦略2020で示した柱の1つ「ものづくりをデジタルで」を建築工事現場で実現するデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」に基づく。BIMモデルを基盤とするデータプラットフォーム上で、デジタル管理(Management)、ロボット施工(Robot work)、BIM生産連携(Digital Fabrication)を展開している。
このうちデジタル管理では、既に入退場や健康状態などの作業員管理から、車両の入退場管理、地下水位や山留といった現場の安全管理、品質や出来高の施工管理、各所に設置した監視カメラから送信されてくる映像データの分析などをデジタル技術で効率化。また、統合監視室「Smart Control Center」では、55インチのディスプレイ33体を介してデジタルデータを集中監視している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.