電子制御ジョイスティックコントローラーを搭載したダンプ、機体上部は360度旋回可能:第3回 建設・測量 生産性向上展
諸岡は、新開発の電子制御ジョイスティックコントローラーを搭載したキャリアダンプ「MST-700VDR」の販売を2020年12月に本格化した。
近年、国内では、AIカメラとの連携や遠隔からの指示により、動作の停止と運転が行える電子制御のコントローラーを搭載した建設機械を開発する建機メーカーが増えている。
こういった状況を考慮し、油圧ポンプとワイヤで直接つながったハンドルを操作することで稼働する建設機械を多数開発してきた諸岡も電子制御ジョイスティックコントローラーを装着した建機を増加中だ。
同社は、「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)で、電子制御ジョイスティックコントローラー付きのキャリアダンプ「MST-700VDR」を披露した。
電子制御のコントローラーはAIカメラとアラウンドビューシステムとも連動予定
MST-700VDRは、機体の上部を360度回転可能な「くるくるキャリアシリーズ」の4トンクラスで、上部の旋回に応じているため、狭小地や幅員が狭い道路で荷台への土砂の積み込みと積み下ろしがしやすい。また、積載時と上り坂での走行など高負荷作業でエンジンがエンストしにくいアンチストール機能も備えている。
MST-700VDRの電子制御ジョイスティックコントローラーは、動かすとCAN通信で信号を機体内部のメインコントローラーに送信する。受信した信号に従い、メインコントローラーは、取り付けられた油圧ポンプの油圧を調整し、内蔵されたモーターをコントロールしてMST-700VRを走行させる。主な機能としては、高低速の切換やスピンターン、スーパースロー走行、ホーンの操作を備えている。
電子制御ジョイスティックコントローラーの開発に携わった諸岡の担当者は、「電子制御ジョイスティックコントローラーは、電子信号で動作をコントロールできるため外乱による緊急停止や遠隔操作に対応しやすくなる他、加速の仕方や曲がり方をプログラミングで設定可能だ。今後リリースするAIカメラとアラウンドビューシステムとも連動させ、両ソリューションによる人とモノの検出で機体を止められるようにし、接触事故などを減らせるようにする」と話す。
環境性に関して、特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準に適合したエンジン「KUBOTA V3307 Tier 4Final/EU StageV」を採用しており、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)の排出を従来機と比較して削減している。KUBOTA V3307 Tier 4Final/EU StageVは尿素水の供給が不要なためメンテナンスとランニングコストにも優れている。
MST-700VRの運転質量は4930キロで、最大積載量は4000キロ。全長は3.9メートルで、全幅は2.1メートル、全高は2.615メートル。旋回半径は2.310メートルで、クローラー幅は500ミリ。走行速度は、Hiモードで時速10.8キロ、Loモードは時速7.6キロ。燃料タンク容量は105リットル。
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