大林組と日野がダム建設現場で大型ダンプトラックの自動運転を実証実験:製品動向
建機の自動化と自動建機群を一元管理するプラットフォームの構築を目指す大林組とダンプトラックの自動運転技術を開発する日野自動車は、互いの知見を合わせて、大型ダンプトラックにおける自動運転の実用化に向けた技術の開発を進めている。両社はこのほど、三重県伊賀市の建設現場で、大型ダンプトラックを用いて、自動運転のレベルで4に相当する“限定領域内の無人走行を想定した自動運転”の実証実験を行った。
大林組と日野自動車は、建設業における現場作業員の高齢化や就労人口の減少による労働力不足などの問題を解消するため、三重県伊賀市で建設を進める川上ダムの現場で、大型ダンプトラックの自動運転に関する実証実験を2020年11月1日から12月中旬まで行った。
今回の実験では、夜間の建設現場で稼働する現場内の搬送ダンプに、自動運転車を1台導入し、有人ダンプと自動運転車が混在した交通下における運行への影響や全車自動運転車だけでの運用を検討した。また、建設現場の自動化に向けて、自動運転車と建機の連携を実現するために役立つデータも取得。
使用した自動運転車は、大型トラック「日野プロフィア」に自動運転技術を搭載したもので、実験では約1.3キロの距離を最高時速30キロで走行させた。車両の走行位置と経路は、GNSSデータやカメラ、LiDARで把握し、前方に走行車がいる場合は、車間距離制御装置(Adaptive Cruise Control)で、前方を走る車と自動運転車の距離を計測・算出し、車間を一定に保ち、接触を回避した。実証では安全を優先し、想定外の事象に備えて、自動運転車にシステム監視者が乗った。
自動運転車の走行ルートは、毎日採取先が変わるコンクリート骨材ヤードの位置に応じて設定し、狭いカーブや悪路、急勾配も対象経路とした。
今回の結果を踏まえ、両社は、荷積みから荷降ろしまで一貫したオペレーションを実現する自動運転技術と、複数台の自動運転車を現場で運用可能なテクノロジーの構築を目指す。
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