建機が自動でダム工事、鹿島がトラック作業の自動化に成功:情報化施工
鹿島はこのほど「大分川ダム堤体盛立工事」に自動ダンプトラックの導入試験を行い、ダンプトラックの「運搬」と「荷下ろし作業」の自動化に初めて成功したと発表した。
鹿島はこのほど「大分川ダム堤体盛立工事」(大分市大字下原地先、工期2013年9月〜2019年3月)に自動ダンプトラックの導入試験を行い、ダンプトラックの「運搬」と「荷下ろし作業」の自動化に成功したと発表した。
鹿島は次世代建設生産システムの開発を進めている。2015年に建設機械の自動化技術による次世代の建設生産システム「A4CSEL」(クワッドアクセル)を開発。これは従来のリモコンなどによる建設機械の遠隔操作とは異なり、人間はあらかじめ複数の建設機械に対しタブレット端末で指示を出すだけで、後は機械が自動的・自律的に運転・施工を行う。建設業の課題である将来の熟練技能者の減少や作業員不足への対応、生産性や安全性の向上に貢献できるシステムとして、適用機種の拡大に取り組んでいる。既に振動ローラとブルドーザの自動施工した実績があり、今回は新たに自動ダンプトラックの自動化に取り組んだ。
今回開発した自動ダンプトラックは、55トン積級のコマツ製の汎用ダンプトラックに、GPSや制御PC、自動化機器などを搭載して、あらかじめ指示された位置までの運搬や、指定位置でのダンプアップ(荷下ろし作業)を自動で行うものだ。
大分川ダムの堤体コア材盛立部で、自動ダンプトラックと自動ブルドーザを連動させ、運搬、荷下ろし、まき出し、整形という一連の作業の自動化の導入試験を実施した。コア材を積載した自動ダンプトラックが指示された位置まで自走し、コア材をダンプアップする。自動ブルドーザは自動ダンプトラックからの退出信号を受信すると、自動的にまき出しと整形作業を開始し、この作業を繰り返し行う。
自動ダンプトラックと自動ブルドーザによるコア材のまき出しと整形作業の後、同じく堤体コア盛立施工部で、自動振動ローラによる転圧作業を行う。ダム堤体の転圧範囲の形状は、埋設計器などがあり単純な矩形ではないが、新たに開発した手法により、変形形状にも柔軟に対応しながら、複数台の振動ローラが同時並行して転圧作業を行うことが可能となったとしている。
鹿島では2015年に独自開発の自動振動ローラとコマツとの共同開発の自動ブルドーザーによる施工を、福岡県の五ケ山ダム堤体工事のRCDコンクリートの施工に初適用した実績がある。
今回新たにダンプトラックにも自動化システムを導入したことで、同社はダム工事における建設機械自動化システムの一連の流れを確認できたとしている。今後は油圧ショベルの自動化にも取り組む予定で、適用機種を増やしつつ、造成工事やダム工事の自動化システムを完成させる方針だ。
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