「GyroEye」の新アドオンソフト、ハンズフリーで遠隔臨場と変状調査を実現:第3回 建設・測量 生産性向上展
インフォマティクスは、Mixed Realityソフト「GyroEye(ジャイロアイ)」のアドオンソフトとして、遠隔臨場・変状調査ソリューション「XRoss野帳」を2021年5月19日にリリースする。
インフォマティクスは、「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)で、1分の1スケールで設計図面を建設現場に投影するMixed Realityソフト「GyroEye(ジャイロアイ)」のアドオンソフトである遠隔臨場・変状調査ソリューション「XRoss野帳」をPRした。
撮影者の位置を図面上で見える化
GyroEyeは、Microsoft製ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」を使用することで、BIMや2次元図面を現実の建設現場に投影でき、墨出し・ケガキ作業をはじめ、プラント設備における施工イメージの事前確認、インフラ構造物の点検調査・維持管理などをハンズフリーで行えるようにするシステム。
XRoss野帳は、GyroEyeやHoloLensの最新版「HoloLens 2」などを連携して、遠隔臨場と遠隔検査で必要な映像や図面、帳票を専用ブラウザのシステムに表示する。具体的には、HoloLens 2で撮った映像をリアルタイムに専用ブラウザに流す他、専用ブラウザ上の図面にHoloLens 2装着者の位置や見ている方向を可視化するため、管理者は現場のどこを撮影しているかを把握しやすい。
管理者は、専用ブラウザ上で映されるHoloLens 2の映像に対して書き込みをすると、HoloLens 2の画面にも書き込んだ内容を反映でき、確認したいエリアを装着者に伝えられる。
インフォマティクスの担当者は、「XRoss野帳は、HoloLens 2とデジタルメジャーをBluetooth通信させることで、デジタルメジャーにより得られた0.1ミリ以上の測定情報を専用ブラウザ上の図面と帳票に自動入力する。同様に、デジタルノギスで取得した0.01ミリの計測データを帳票と図面に自動でインプットすることにも応じている」と話す。
続けて、「変状調査を実施する場合には、HoloLens 2を用いて、対象となる構造物のひび割れを指先でなぞることで、ひび割れの位置や長さを専用ブラウザ上の図面に反映する。対象構造物にある全てのひび割れを測定後、ひび割れの総延長と矩形(くけい)総面積を自動算出できる」と語った。
この他、現場の変状箇所を専用ブラウザ上の図面に見える化するのに役立つ凡例変状スタンプやHoloLens 2で撮った写真を図面内に配置する機能、HoloLens 2で発話したコメントをテキストとして記録する機能などを備えている。
また、各機能で取得したデータはGyroEyeのクラウドシステム「GyroEye CMS」に蓄積可能。GyroEye CMSを活用することにより、HoloLens 2で前回の点検記録を確認しつつ、構造物の検査が行える。
XRoss野帳の対応図面は、平面図(平面方向)、断面図(縦/横断方向)、曲面図(円筒構造の側面)、トンネル(横断図/展開図)。対応帳票フォーマットはGoogleスプレッドシート、Excelファイル(xlsx)。XRoss野帳の対応PCブラウザはGoogle ChromeとMicrosoft Edge。遠隔臨場の推奨通信速度は下がり20Mbps以上で、上りは10Mbps以上。
価格は、XRoss野帳が55万円で、XRoss野帳の年間保守費用が5万5000円、GyroEye CMSの年間利用料が27万5000円。オプションとしてラインアップしているデジタルメジャーは18万7000円で、デジタルノギスは8万8000円。これらをセットにしたXRoss野帳セットパッケージは115万5000円。XRoss野帳セットパッケージとHoloLens 2のセット価格が154万円で、XRoss野帳セットパッケージとTrimble製ヘッドマウントディスプレイ「XR10」のセット価格が181万5000円(いずれも税込み)。
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