CIMモデルをMR化して施工手順を可視化、大林組が鉄道工事で有効性を確認:CIM
大林組は、DataMeshが開発した3次元モデルの施工手順をMRで投影するツール「ataMesh Director」を導入し、既に2件の鉄道工事に適用して工程管理での有効性を実証した。ataMesh Directorは、CIMモデルを専門知識が無くても手軽にMR化し、現場で作業の流れを複数人で共有することにより、施工計画の理解や手戻り削減につながり、さらに発注者への説明などにも役立つ。
大林組は2021年1月、BIM/CIMとMR技術を組み合わせ、建設現場で作業手順を3次元モデルで投影し、施工手順の共有や危険箇所の確認、発注者への説明といったさまざまなシーンで利用する新たな工程管理の手法を実現場に適用したと公表した。
現場に3Dモデルを投影、施工手順や危険作業、危険箇所をチェック
今回、MR技術を適用した鉄道工事は、列車が走る昼間は施工ができず、作業時間が終電から始発までの数時間に限定されることから、作業の手戻りは大きな損失となっていた。そのため、作業手順の確認には、発注者、協力会社などと綿密な協議を重ね、相当数の時間を費やしていた。
そこで、大林組は「作業手順のMRによる可視化」に着目し、データセンターやクラウドなどサービス型のITソリューションを多数提供するシステムインテグレーターのTISと、MR向けコンテンツ制作の支援などを行うDataMeshとともに、作業手順をMR上で再現できる「DataMesh Director」を使い、建設中の鉄道現場2件で工程管理での有効性を実証した。
2件の現場のうち、横須賀線「武蔵小杉」駅のホーム増設工事(横須賀線武蔵小杉駅2面2線化他)は、通路内に補強用の梁(はり)が露出するため、旅客者目線での作業計画作成に適用。鉄骨部材を組み立てる複雑な施工手順をMR投影で可視化し、実際の作業のスケール感や旅客への影響を複数の作業員や職員で共有して、安全な施工計画の立案に役立てた。
一方、JR東日本が発注した鉄道営業線の直上に高速道路の桁を架設する工事(東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設)では、営業中の9つの線路全線を閉鎖して、約100分の限られた時間内に高速道路の桁送り出しを完了させるため、MR技術を採用。一連の作業が見える化されたことで、施工手順や危険作業、危険箇所をあらかじめ確認することが可能になった。
建設現場での施工手順は、その時々で類似性が無く、施工対象の数だけ無数にあるため、ユーザー自身が簡単に手順をMR化するMRソリューションが求められていた。その点、DataMeshが開発したMRプラットフォームDataMesh Directorは、静的なモデルの表示だけではなく、手順など3Dアニメーションを短時間で作成し、遠隔地間での共有にも応じており、建設業でのMR業務の内製化が実現する。動的な3Dアニメーションで作業手順を現地で事前に把握しておけば、役割分担の決定に掛かる時間も大幅に短縮される。また、若手作業者でも正しく作業を理解し、施工中にも作業手順の動画を投影することで間違いを未然に防げる。
また、作業指示や位置確認を行う場合は、2次元の施工図面を切り出す方法が一般的だが、DataMesh DirectorではBIM/CIMモデルを3DモデルのままMR化するため、立体的な完成のイメージを共有できる利点がある。BIM/CIMモデルがあれば、PowerPointのスライドを作成するように施工ステップを作れるので、従来よりも簡単に動的3Dコンテンツを作成または修正することが可能だという。なお、MR化した作成物はクラウドに保存され、複数媒体での投影に対応し、遠隔地同士での情報共有など、幅広い場面での活用が見込まれる。
大林組は、今後も鉄道工事だけでなく多様な建設現場で、BIM/CIMとMR技術を用い、施工現場の生産性向上、働き方改革や労働環境の改善に努めるとともに、デジタル技術による業務やビジネスの変革を推進していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
BIM/CIM:コンストテック、BIM/CIMコミュニケーション一元化ツール「Revizto」提供
コンストテックは、建設業界の設計・施工管理に最適な、BIM/CIMの課題共有・追跡を関係者でリアルタイムに行うコミュニケーション一元化ツール「Revizto」の提供を2020年11月17日から開始した。BIM:国内建設プロジェクト向けに「Revit」用BIMパーツの特別サイト開設
BIMobject Japanと大塚商会は、BIMソフト「Revit」国内ユーザー向けに、Revit用BIMパーツを掲載する特設サイトを開設した。BIMを導入しやすい環境を整備し、生産性の向上や働き方改革の促進を後押しする。BIM:“生産設計BIM”で設計と施工・BIMとCIMを繋ぐ「GLOOBE」最新版、施工BIMを新規追加
国産BIMソフト「GLOOBE」がアップデートし、設計と施工のBIMモデルの連動性を高めるべく、仮設・土工を対象にした施工BIM用の「GLOOBE Construction」のラインアップを新たに追加した。GLOOBE Constructionの土工計画では、BIMとCIMを繋ぎ、点群データの読み込みから、整地・掘削、その先にはICT建機とのデータ連携も実現させている。オートデスク織田社長「ITは道具ではなく、もはや共同設計者」:大和ハウスとヤマト科学がニューノーマル時代のDXを議論、未来の働き方を照らすAECセミナー
2019年4月から段階的に施行された働き方改革関連法を受け、場所にとらわれない新しいワークスタイルが身近になったことに加え、新型コロナウイルス感染症が世界の至る所で影響を及ぼし、with/afterアフターコロナ時代の新しい生活様式が生まれ、建設業や製造業などあらゆる産業の働く環境は一変した。この急激な変化に対応するためには、デジタル変革にどう取り組むかは、業種や業界を問わずもはや不可避の課題となっている。いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(7):FMにBIMを活用する(その1)「国土交通省 建築BIM推進会議から考える」
本連載は、「建築関係者のためのFM入門」と題し、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が、ファシリティマネジメントに関して多角的な視点から、建築関係者に向けてFMの現在地と未来について明らかにしていく。今回は、FMにBIMを活用するをテーマに、国交省「建築BIM推進会議」の動向から考察した。施工:3眼カメラシステム配筋検査を東根川橋上部工工事で実用化
清水建設がシャープと共同開発した「3眼カメラ配筋検査システム」が、東北中央自動車道東根川橋上部工工事の配筋検査で初採用。検査業務の精度を維持しつつ、効率化し、安全性も向上する。BIM:オートデスクと清水建設、都市デジタルツインの基盤整備
オートデスクは清水建設とともに、都市デジタルツインの実装に向け、基盤・データプラットフォームを整備する協業プロジェクトを、豊洲6丁目プロジェクトの周辺エリアを対象とする都市デジタルツインの構築から開始した。