“HoloLens 2”でマンション外壁の打診検査を1人で完了、長谷工版DXが本格始動:AR/MR(1/3 ページ)
長谷工コーポレーションとアウトソーシングテクノロジーは、日本マイクロソフトと連携して、最先端のデジタル技術を駆使した建設・不動産業界の生産性改革を推進していくと発表した。初弾として、マンションの外壁タイル打診検査を対象に、検査員1人だけで完了し、報告書作成の業務量を半減するMixed Realityソリューション「AR 匠RESIDENCE」を共同開発した。
長谷工コーポレーションとアウトソーシングテクノロジー、日本マイクロソフトは2020年7月6日、建設・不動産業界の生産性改革推進に関する共同オンライン記者発表会を開催。3社協業の成果として、マンションのタイル打診検査に、国内で初めてAR/MR技術を用いた「AR 匠RESIDENCE(エーアールタクミレジデンス)」を紹介した。
点検結果はAzure上に保存され、報告書を自動生成
オンラインでの開催となった記者発表会。左からアウトソーシングテクノロジー 代表取締役社長 茂手木雅樹氏、長谷工コーポレーション 取締役常務執行役員 楢岡祥之氏、日本マイクロソフト 執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長 手島主税氏
AR 匠RESIDENCEは、日本マイクロソフトの技術協力を得て、長谷工コーポレーションとアプリ開発や外販も担うアウトソーシングテクノロジーが2019年10月に共同開発に着手した外壁タイル打診検査のためのARソリューション。検査員がMicrosoftのAR対応ウェアラブルデバイス「HoloLens 2」を装着して、打音検査の点検記録を行い、点検結果は、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上に保存されて報告書が自動生成される。
2020年6月の実証実験では、検査員1人だけでマンションの外壁打音検査が完了し、報告書作成では業務量が半減。検査業務全体では、約30%の削減につながったという。
これまでの点検は、2人1組で現場に出向き、1人が壁をテストハンマーなどでたたいて、もう1人が図面を確認しつつ、外壁の浮きやクラックを手書きで記録し、写真撮影を行っている。検査後には、事務所に戻り、指摘箇所を作成した図面にプロットして、写真の照合や集計などを報告書としてまとめているため、長時間労働やクライアントに提出するまでに日数が掛かっていることがネックとされていた。
長谷工グループのDX戦略
会見では、長谷工コーポレーション 取締役常務執行役員 楢岡祥之氏が、AR 匠RESIDENCE開発の経緯を説明した。
長谷工グループは、1968年に第1号となる分譲マンション「芦屋浜松ハイツ」を手掛けて以来、新築の計画/設計/施工/販売と、既存の管理/大規模修繕/インテリアリフォーム/賃貸・仲介・リノベ/建て替え・再生の両面で、マンションに特化したトータル事業を展開し、施工累計実績は国内1位の65万4559戸(2020年4月末現在)にも上る。
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