地震発生時にインフラケーブルの損傷リスクを軽減する免震建物用ラック、大林組:免振
大林組は、電気や通信ケーブルの損傷リスクを軽減できる免震建物用ケーブルラック「ニュートラダー」を開発し、東京都清瀬市の大林組技術研究所で、3次元振動台を用いてニュートラダーの検証実験を実施して、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの大きな地震動に対しても安全に稼働することを確認した。
大林組は、地震時の揺れに追従して可動することで、電気や通信ケーブルの損傷リスクを軽減できる免震建物用ケーブルラック「ニュートラダー」を開発したことを2020年12月25日に発表した。
ケーブル長を最適化して省スペースで配線することにも対応
免震建物は、地震時に大きくゆっくりと動く構造で、建物と基礎の間に設ける免震層に配線された電気や通信などのインフラケーブルが揺れに追従して動くためには、ケーブルが切断されないように余長を持たせておく必要がある。
しかし、放送局やデータセンターといった建物では、多量のケーブルが配線されるケースがあり、地震時には、インフラケーブルの余長部分が大きく動くことで、重なり合ったケーブルの自重により、摩擦やよれ、絡みが生じ、各ケーブルが損傷するリスクがあった。余長がある多くのケーブルを免震層に設置するためには大きなスペースも必要だった。
上記の課題を解決するために、大林組はニュートラダーを開発した。ニュートラダーは、ラック同士をピン接合し、地震時の震動に追従することを可能にした免震建物用ケーブルラック。ケーブルをニュートラダーの上に搭載することで、地震時にはラックに支持された状態でケーブルも動作するため、損傷と切断リスクを軽減でき、メンテナンスも容易だ。また、ケーブルの揺れ幅も小さくなることから余長を持たせる必要がなくなり、ケーブル長を最適化して省スペースで配線することにも対応している。
大林組は、ニュートラダーの性能を確かめることを目的に、東京都清瀬市の大林組技術研究所で、3次元振動台を用いてニュートラダーの検証実験を実施し、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの大きな地震動に対しても安全に稼働することを確認した。
今後、同社は、免震建物を採用することが多いデータセンターや放送局などで、地震時ニュートラダーを提案していく方針を示している。
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