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震度7の震動を30分の1に軽減する断震システムとポリウレア樹脂による部材強化の効果住宅ビジネスフェア2020(1/2 ページ)

東京理科大学 教授 高橋治氏は、ポリウレア樹脂を塗布したコンクリートとアラミド繊維を素材にした帯を装着したコンクリートの性能を実験で検証した。結果、通常のコンクリートと比較して、ポリウレア樹脂を塗布したコンクリートは耐力が約12キロニュートン上がり、アラミド帯を取り付けたコンクリートは耐力が約2.5キロニュートン向上することが判明した。

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 東京理科大学 教授 高橋治氏は、住宅の設計・施工や修繕、管理に役立つソリューションが展示された専門展「住宅ビジネスフェア2020」(会期:2020年9月24〜25日、東京ビッグサイト)で、「“ゆっくりと寛(くつろ)いでもらうための住宅構造”〜サイエンスが導く未来建築〜」と題したセミナーを行った。

 講演では、AIR断震システムの耐震効果とポリウレア樹脂を用いた部材の強化について紹介した。

エアータンクへの空気の補充は自動


東京理科大学 教授 高橋治氏

 高橋氏は、1991年4月に構造計画研究所に入社し、解説技術部に配属され、1993年4月に、構造設計部に異動して、主に建物の構造設計・監理に伴う業務を担当した。

 2011年7月に執行役員 兼 構造設計部 部長 兼 西日本設計部を務めた後、2015年4月に東京理科大学 工学部 建築学科 教授に就任した。以降、セミナーやサイエンスカフェなどを開催し、地震に強い住宅の構造などを普及している。

 AIR断震システムは、エアーコンプレッサーやエアータンク、浮上用電磁弁、バランサー用電磁弁、コントロールボックス、エアーセンサー、地震センサーなどで構成されている。

 地震の発生時には、自動で地震センサーが振動を検知して、エアコンプレッサーがエアータンクの空気を人工地盤と基礎の間に瞬時に送り込み、建物全体を浮上させる。建物と実際に揺れている地面が切り離されるため、住宅の揺れが少なくなり、家の倒壊や家具の転倒といった被害を防げる。地震後、エアータンクへの空気の補充を自動でコンプレッサーが進める。


AIR断震システムのイメージ

AIR断震システムの通常時(左)と地震時(右)related:/bt/articles/1910/21/news035.html

 防災科学技術研究所が行った、AIR断震システムを搭載した家と地上での揺れを比較した実大振動実験の結果によれば、AIR断震システムは震度7の震動を30分の1に軽減可能なことが判明している。


防災科学技術研究所がAIR断震システムの性能を調べた実験の結果

 「AIR断震システムは、空気を用いて建物を浮かすため、従来の免震装置より施工費用を抑えられる。さらに、装置は、風で位置がずれないように建物に取り付けなければならず、地盤と家が間接的に接触し、地震の影響が建物に生じる。住宅の荷重を支える機器の必要になるが、AIR断震システムは住宅と人工地盤の間に空気を入れられる隙間があれば搭載できる」(高橋氏)。

 続けて、「AIR断震システムは、コントロール機器のテストボタンを押して、浮上テストを行い、システムの異常を点検可能で、不具合の確認が容易だ」と説明した。

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