人だけ検出で建機接触を防ぐ青木製作所のAIカメラ マグネットで後付け可:現場管理
青木製作所は、建機の接触事故をAI検知で未然に防ぐカメラシステムを発売した。AIは人だけの検出に特化し、LEDとブザーで周囲に注意喚起する。AIカメラは高耐久設計で、建機やフォークリフトにネオジムマグネットで後付けできる。
群馬県高崎市で自動車用部品を中心に開発/製造する青木製作所は2025年11月6日、フォークリフトや建設機械などの事故につながる可能性をAIで検知して未然に回避する「ヒト検知AIカメラシステム」を発売した。AIは独自アルゴリズムで“人だけ”を認識し、警告機能やモニター、映像記録などの機能を組み合わせ、さまざまな用途で労働災害ゼロを実現する。
現場の“死角”を見逃さない「ヒト検知AIカメラシステム」
厚生労働省の労働災害統計によると、フォークリフトに関連する労働災害は毎年約2000件発生し、そのうち「はさまれ/巻き込まれ」や「激突され」など、人との接触事故が62.6%を占めている。人材不足やオペレーターの熟練度低下が進む中、こうした事故の抑制は年々難しくなっており、AIを活用した安全支援技術への注目が急速に高まっている。
青木製作所のヒト検知AIカメラシステムは、AIによる高精度検知と容易な取り付けを両立した安全支援カメラ。ラインアップは、AIヒト検知+警告機能の「エントリー」、AIヒト検知+警告機能+モニター表示の「ミドル」、ミドルに映像やログの記録機能を追加した「ハイエンド」の3種類で、現場での使い方や予算に応じて選べる。
それぞれの機器は、フォークリフトや建機などに設置用ネオジムマグネットで後付け可能で、作業現場の“死角”を瞬時にカバーし、接触事故を未然に回避する。
AI検知は、独自アルゴリズムで“人だけ”を認識する。視野角は水平140度/垂直70度、検知距離は0.5〜12メートル。最大4台のAIカメラを接続し、後退時や旋回時など360度全方位を検知する。検知範囲は、3段階の検知エリア設定とカスタマイズで車体の形状や用途に応じて調整できる。
警告機能は、視覚と聴覚のLEDフラッシュとブザーで段階的にアラートを出し、現場に初めて入る作業員や外国人オペレーター、周辺作業員にも明確に危険性が伝わる。
製品は国内工場で耐久性や品質を担保し、高温多湿/耐振性に優れた構造で屋外現場の長期運用に耐える。
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