AIで工事車両と緊急車両を識別、現場周辺の安全性向上 戸田建設とGRIFFY:AI
戸田建設とGRIFFYは、AIカメラとAIマイクモデルを活用して工事車両と緊急車両を識別し、現場周辺の安全性向上を図る「特定車両検知システム」を開発した。
戸田建設は2025年10月23日、GRIFFYと共同で、AIを活用して工事車両と緊急車両を識別し、工事現場周辺の安全性向上を図る「特定車両検知システム」を開発したと発表した。AIカメラとAIマイクモデルを組み合わせ、周辺への注意喚起や工事車両の出場制御を行う。
新技術は、道路上を走行する全車両の中から工事車両を検知するAIカメラ「PROLIC」の技術を活用した「特定マーカーAI検知モデル」と、緊急車両のサイレン音を検知して工事車両の出場を制御する「音声AI検知モデル」(AIマイクモデル)の2つの技術から成る。
AIカメラモデルは、一般車両向けのLED式看板と屋外対応のAIカメラを組み合わせて運用する。工事車両に取り付けた特定マーカーをAIが画像認識し、リアルタイムでLED看板の表示を切り替えることで、後続の一般車両に工事車両の存在を伝え、減速を促す。併せて出入口の回転灯も点灯し、現場のガードマンに対しても注意を促す。
AIマイクモデルは、工事車両出入口付近に設置した集音マイクが、約百メートル手前を通過し、かつ出入口に向かって走行する緊急車両のサイレン音のみを検知する。AI解析部が接近をリアルタイムで認識すると、回転灯や遮断機が自動的に作動して工事車両の出場を一時的に停止。緊急車両の円滑な通行を確保する。
新システムは、作業ヤードが救急病院に隣接した工事現場で、AIモデルの学習と実証を行った。現場にはAIカメラ1台、AIマイクモデル用の集音マイク、学習用カメラ3台を設置。3方向から通過する救急車の映像と音声を記録して、AIの教師データとして活用した。
当初、マーカーの識別精度が36.4%、サイレン音の検知精度が18.9%とにとどまっていたが、識別アルゴリズムの改良により、最終的にそれぞれ99.4%、98.1%まで向上した。
戸田建設は今後、交通量の多い幹線道路沿いの現場を中心に新システムの導入を進める。教師データの蓄積によって検知精度の強化を図り、交通災害ゼロの実現を目指す。
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