大手住宅/化学メーカーなど5社が連携、給水給湯管施工端材の資源循環スキーム構築:サーキュラーエコノミー
旭化成、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、CFPの5社は、給水給湯管施工端材の資源循環スキーム構築に取り組む。
旭化成、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、CFPの5社は2025年11月10日、住宅の建築現場で発生する給水給湯管の施工端材を回収、製品として再生して再び施工する新たな資源循環スキーム構築に向け、協業を開始すると発表した。
住宅メーカーと素材の再資源化の各役割を担う化学メーカー、リサイクラーが業界を超え連携し、環境負荷の低減と資源循環の輪を拡大を目指す。
旭化成ホームズ、積水化学工業住宅カンパニー、積水ハウスの住宅メーカー3社は、これまで施工廃棄物の回収やリサイクルなど個別の取り組みを行ってきた。サプライチェーン全体による協働が必要との考えで一致し、具体的な実施方法を検討してきた。
こうした中、住戸内で数多く使用されている給水/給湯用の架橋ポリエチレン管「エスロペックス」を製造する積水化学工業環境・ライフラインカンパニーが製造時に発生するエスロペックス廃材のリサイクル技術を検討していることに着目。化学メーカーの旭化成とリサイクラーのCFPの協力を得たことで、エスロペックスを資源循環できる見通しがたったことから、取り組みを本格的に始動した。
資源循環のプロセスは、ケミカルリサイクルを手掛けるCFPが、エスロペックス廃材をもとに再生油を生成。再生油化した原料由来の再生エチレンを用いて、旭化成が再生ポリエチレン樹脂を製造する。その後、再び積水化学で再生エスロペックスを製造する。CFPによる再生油製造から、旭化成での再生ポリエチレン樹脂製造までのスキームについては、第三者認証スキームによるクレジットを割り当てる。
旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウスは、それぞれエスロペックスを採用している。豊富な住宅供給量をもつ住宅メーカー3社がこの資源循環のサイクルに参画することで、エスロペックス廃材の回収量拡大や、同スキームの経済合理性向上が図られるとしている。5社は引き続き資源循環スキーム構築を進め、2026年3月末の運用開始を目指す。
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