大林組が大阪・関西万博パナソニック「ノモの国」の設備機器/建材約180点を技術研究所でリユース:サーキュラーエコノミー
大林組は、大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオンで使用中の設備機器や建材約30品目180点を、閉幕後に大林組技術研究所で建設中の実験棟で再利用する。
大林組は2025年9月4日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」で使用されている設備機器や建材を、東京都清瀬市の大林組技術研究所で建設中の実験棟 「オープンラボ3(OL3)」にリユースすると発表した。コンセントや照明器具などの設備機器、インターロッキングブロックやウッドデッキといった建材を約30品目180点再利用する。
大阪・関西万博では、環境配慮と資源の有効活用を重視した会場づくりを目指し、パビリオンの設備機器/建材のリユースや解体に伴う廃棄物量の削減に取り組むことを掲げている。この方針に基づき、大林組とパナソニックホールディングスはパビリオンの建設に際し、鉄や銅のリサイクル、設備機器や建材の再利用といった資源循環型の建物を計画。閉幕後に資材を幅広く活用する取り組みを展開する。その一環として、OL3新築計画の第2期部分でリユースを実施する。
大林組は、OL3の設計段階からリユース品と新規機器の性能やシステム連動性を考慮しており、適切な機器の選定と設計を行うことで、機能性と環境性能を両立させたリユース建築に取り組む。
さらに資材の大阪から東京への輸送では、日本通運と連携し、トラックと比較して環境負荷の小さい鉄道を中心とした「モーダルシフト」による低炭素輸送を実施する。大林組の試算によると、従来のトラック輸送と比べて、CO2排出量が約75%削減できる見込みだ。
大林組はOL3新築計画で、サステナブル建築技術の開発と実証を目的に、設備機器/建材などのリユースとリサイクルを前提とした設計に取り組んでいる。これまで鉄骨とコンクリート製構造部材の新築建物へのリユース、プラスチック廃材のリサイクル、CO2削減鉄筋の採用などを進めてきた。これらの取り組みを通じて、解体施工手法からリユース製品選定、管理方法といった一連のプロセスに関する知見とノウハウの蓄積を図る。
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