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建物解体で出る鉛含有塗料/石綿付き金属を無害化 鹿島建設と共英製鋼が再資源化モデル構築:サーキュラーエコノミー
鹿島建設と共英製鋼は、建物の解体工事に伴い発生する鉛含有塗料や石綿などの有害物質が付着した金属廃棄物を無害化/再資源化する取り組みを始める。
鹿島建設は2025年8月27日、共英製鋼と共同で、解体工事で発生する鉛含有塗料や石綿(アスベスト)などの有害物質が付着した金属廃棄物を無害化し、鉄鋼製品の原材料として再資源化する仕組みを構築したと発表した。再生された鉄鋼製品は、今後、鹿島建設が施工するプロジェクトで建設資材として活用する。
鉛含有塗料は、橋梁(きょうりょう)や鉄塔、水門といった社会インフラの鉄構造物に、錆止めや硬化剤として使用されてきた。一方、石綿は耐熱性や絶縁性、耐薬品性の高さから、建材や断熱材として広く用いられてきた。1990年代からは健康や環境への影響が指摘され、現在は使用が禁止されている。現在、これらを使用した建物が建て替え期を迎え、有害物質が付着した金属類の安全な解体や資源の有効活用が求められている。
共英製鋼は、鉛と石綿の両方の処理が可能な国内唯一の電気炉メーカー。CO2排出量の少ない電気炉で有害物質を無害化処理しながら、鉄を鉄鋼製品「エシカルスチール」として再生している。これまで必要だった現場での剥離作業や埋立処分が不要となり、作業者の健康リスクや負担の低減、労働環境と生産性の向上が期待される。
共英製鋼は今後、山口事業所以外の国内拠点でも、有害物が付着した金属廃棄物の処理に必要な許認可を取得し、処理体制を拡大する。鹿島建設は、金属廃棄物の回収/処理/循環の体制を全国的に整備し、両社の連携によってサーキュラーエコノミーの実現を目指す。
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