都市資源を内装材にアップサイクル、竹中工務店とChopValue Japanが共同研究:サーキュラーエコノミー
竹中工務店とChopValue Japanは、都市資源を再生利用した循環型建築資材の共同研究開発を開始した。2026年度以降に、実際の建築プロジェクトでの実証導入を予定している。
使用済み割り箸のアップサイクルに取り組むChopValue Manufacturing Japanは2025年10月22日、竹中工務店と共同で、循環型建築資材に関する研究開発を開始したと発表した。都市で発生する廃材を再資源化し、アップサイクル素材として建築資材への応用を目指す。両社の連携により、国内での循環型建材供給体制の整備と、スケーラブルな循環型製造モデルの構築を図る。
都市資源を活用した建築用再構成材を共同開発
竹中工務店は、従来のスクラップ&ビルドからの脱却を掲げ、「サーキュラーデザインビルド」をコンセプトに、再利用/再資源化/アップサイクルを推進している。一方、ChopValue Japanは神奈川県川崎市のマイクロファクトリーで、飲食店などから回収した割り箸を熱やスチーム、高圧による独自技術で圧縮し、テーブルの天板や内装材向けに加工するアップサイクルを実施。これまで累計7トン以上を再生しており、今後の全国展開も視野に入れる。
両社による共同研究は2025年初頭から開始。ChopValue Japanのマイクロマニュファクチャリング技術を用いて、都市資源を活用した内装材などの建築用再構成材を開発する。都市資源を地域内で高付加価値の建材に転換することで、低炭素型製造モデルの確立を目指す。開発した資材は、竹中工務店の研究開発施設で耐火性/耐久性/建築適合性など多角的な性能試験を実施する。
共同研究の成果は2026年度以降に、実際の建築プロジェクトでの実証導入を予定している。将来は製品化や商用展開を通じて、国内建設業での新たな循環型建築エコシステムの形成を後押しする。
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