九州最大級3.7MWの“屋根借り”メガソーラー、福岡・久山町の物流施設で稼働:プロジェクト
日本ベネックスが、福岡県糟屋郡久山町の物流施設「YKW久山久原」の屋根に設置したメガソーラーが稼働した。オンサイトPPAと全量FIP売電の2タイプの発電所で、屋根借り方式の太陽光発電設備としては九州最大級となる。
日本ベネックスは2025年11月5日、福岡県糟屋郡久山町で九州最大級となる屋根借り方式の「ベネックス久山ソーラーポート」が運転を開始したと発表した。吉田海運グループとの初の協業案件で、「オンサイトPPA(電力購入契約)」と「FIP(フィードインプレミアム)制度」を組み合わせたハイブリッド型の発電所として、地域の脱炭素化と再生可能エネルギーの普及に貢献する。
物流施設の屋根を活用したハイブリッド発電
新発電所は、2024年11月に竣工した吉田海運ロジソリューションズの物流施設「YKW久山久原」の屋根を賃借してオンサイトPPAと全量FIP売電の2タイプの発電所を設置した。ネルはチントソーラー製、パワーコンディショナ(PCS)はSUNGROW製を採用。太陽電池の総容量は約3.7メガワット(MW)に達し、屋根借り方式の太陽光発電設備としては九州最大級となる。
2タイプの発電所のうち、オンサイトPPAは約0.5MWで、発電した電力をYKW久山久原の入居テナントなどが自家消費用として使用する。施設運営の電力コスト削減とCO2排出量削減に直接貢献する。
全量FIPは約3.1MWで、発電した電力をFIP制度(固定価格買取制度に市場プレミアムが上乗せされる仕組み)を活用して売電する。FIP部分は2025年11月2日に運転を開始した。FIP部分の年間予想発電量は約347万kWhにのぼり、一般家庭約1155世帯分の年間消費電力に相当する。
日本ベネックスは環境エネルギー事業で、太陽光発電所のEPC(設計・調達・施工)から、自社発電所の運営、O&M(管理・保守)までを一貫して手掛けている。今回の稼働で、保有する自社発電所は52件(合計出力約70.2MW)となり、うち物流施設の屋根借り発電所は35件(合計約61.3MW)となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
サーキュラーエコノミー:建設現場で発生した廃プラを同じ現場で新築建材に再生利用 清水建設が日本橋再開発で開始
清水建設は、建設現場で発生した廃プラスチックを、同じ現場で新築建材として再生利用する取り組みを開始する。第一弾として「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の現場で実施する。
メタバース:渋沢栄一が案内役の「日本橋兜町」街歩きゲーム開発、大成建設の「シン・デジタルツイン」活用
平和不動産は、2025年10月7日に東京都中央区日本橋兜町で開業したホテル「キャプション by Hyatt 兜町 東京」を起点とした街歩きゲームを開発した。ホテル内に設置したモニターで体験でき、日本橋兜町の繁栄を築いた渋沢栄一が案内役となり、プレイヤーをエリア内の店舗や名所へ案内する。
プロジェクト:田町駅西口「森永プラザビル」跡地の再開発に着工、24階建て複合ビル建設
三井不動産、森永乳業、JR東日本は、「田町駅西口駅前地区開発事業」に着工した。旧森永プラザビル跡地に地上24階建ての複合ビルを整備する。2033年度の全体竣工を目指す。
プロジェクト:「博多駅空中都市プロジェクト」が中止 工事費高騰の煽り受け
JR九州は、「博多」駅の線路上にオフィスビルやホテルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」の中止を決めた。昨今の建設費高騰の煽りを受け、施工の難度が高い工事が想定よりも高コストになるため、実現不可能との結論に至ったという。
ワークプレース:東京メトロ本社が日本橋箱崎に一時移転 働く場所を選べるABWの執務フロアなどを実現
東京メトロは2026年夏、東京都台東区東上野にある本社の老朽化に伴い、中央区日本橋の「MSH日本橋箱崎ビル」11〜13階へ本社機能を移転する。東京メトロが進める上野駅周辺での再開発の進捗に応じて、将来は上野エリアへの再移転も予定している。
プロジェクト:札幌市の北海道ビル跡地に仮設型複合拠点が開業 「農とアート」を楽しめる凹場に
札幌中心部の三菱地所が所有する北海道ビル跡地に、新ビル着工までの期間、「農とアート」を楽しめる凹場(あなば)の仮設型複合施設が開業した。
