「博多駅空中都市プロジェクト」が中止 工事費高騰の煽り受け:プロジェクト
JR九州は、「博多」駅の線路上にオフィスビルやホテルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」の中止を決めた。昨今の建設費高騰の煽りを受け、施工の難度が高い工事が想定よりも高コストになるため、実現不可能との結論に至ったという。
九州旅客鉄道(JR九州)は2025年9月26日、「博多」駅の線路上空を立体的に活用する「博多駅空中都市プロジェクト」を中止すると発表した。
JR九州では、福岡市が主導する駅周辺再開発の「博多コネクティッド」と連動する形で、2019年3月に当初の「博多駅空中都市構想」のプロジェクトチームを立ち上げ、検討を進めてきた。
2022年3月には構想からプロジェクトに改称。ポストコロナに向け、国際ビジネス都市/国際観光都市にふさわしい機能を備え、博多口と筑紫口の回遊性を高め、賑(にぎ)わいのある街並みを創出するべく、オフィスとホテル、商業から成る複合ビルを新築する具体的な計画を立案し、現地では2028年末の完成を目指してビル工事に伴う仮設工事にも着手していた。
中止の理由は、博多駅の線路上に位置し、場所の特殊性から施工の難易度が高く、昨今の工事費高騰の影響を受け、想定よりもコストの増大が見込まれたためとしている。JR九州では、建物規模や用途などの見直しを計画に反映し、収入や経費を含め、あらゆる面で可能性を模索したが、実現可能な事業計画を策定することが困難と結論付けたという。
計画案では、在来線竹下側線路上空の敷地面積約5200平方メートルに、基準階プレート約1000坪の福岡が世界に誇る最先端オフィスビル、全室35平方メートル以上のゆとりある客室を備えるラグジュアリーホテル、イベントやアートで文化を発信する広場などを整備する予定だった。
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