札幌市の北海道ビル跡地に仮設型複合拠点が開業 「農とアート」を楽しめる凹場に:プロジェクト
札幌中心部の三菱地所が所有する北海道ビル跡地に、新ビル着工までの期間、「農とアート」を楽しめる凹場(あなば)の仮設型複合施設が開業した。
SAPPORO PLACEMAKING LABOとNoMaps実行委員会が共催する仮設型複合拠点「SAPPORO CULTURE FARM/凹場anaBa」が2025年9月13日に北海道札幌市中央区北二条西四丁目で開業した。三菱地所が有する北海道ビル跡地を新ビル着工まで活用する。
札幌駅前に「農とアート」の文化拠点が誕生
札幌駅前通に位置する施設は、都市農園や地産食体験、文化やアート展示、多目的ステージ、休憩ゾーンなどで構成。公民連携による実証フィールドとして位置付け、ESGや地方創生の観点から、新ビル着工までの準備期間に都市中心部で「農とアート」を楽しめる空間を創出する。
敷地内では、北海道産食材を使った軽食販売、キッチンカー、季節ごとのイベント、音楽ライブなどの開催を予定。都市農園ゾーンでは、コンテナ栽培や参加型のコミュニティー菜園を計画している。
企画主体のSAPPORO PLACEMAKING LABOは、札幌都心部の公共空間活用を推進する産官学民協働の団体だ。札幌市内各所での実証実験やPark-PFI(百合が原公園再整備)案件にも参画している。NoMapsは、札幌を拠点としたイノベーションフェスティバルの名称で、スタートアップや自治体などと連携したカンファレンスや展示イベントを開催している。
道内で本格的オフィスビルの草分け的存在だった「北海道ビル」
北海道ビルは1962年12月に開館し、三菱地所の丸の内オフィスビルと同等の諸設備を備え、道内で本格的オフィスビルの草分け的存在だった。建設時には、工事個所に仮屋根を設け、屋根および周囲をビニールシートで覆い、内部を温風暖房して凍害による支障を避ける画期的な工法を採用。大幅な工期短縮に成功するとともに、冬場に落ち込む北海道の雇用確保に貢献したという。
2000年には外装を含めた全面リニューアルを実施し、北海道庁やサイロなど北海道を象徴する赤煉瓦のタイルから、現在のアルミパネルへ装いを新たにした。その後、建物の老朽化に伴う再開発計画が浮上し、開業から約60年を経た2022年度に閉館を決めていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
プロジェクト:「築地再開発」は9000億円を投じ、5万人収容スタジアムや高さ210mのホテルなど9棟建設
築地再開発が2030年代前半の開業を目指し、本格始動する。計画では、9000億円を投じ、5万人収容のスタジアムやライフサイエンス/商業複合棟、高さ210メートルのホテル棟など9棟を建設する。設計は日建設計とパシフィックコンサルタンツ、施工は鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店が担当し、2030年代前半に第一期の街びらきを目指す。プロジェクト:御堂筋に次代の“ゲート”を開く、29階建て複合ビル「淀屋橋ゲートタワー」2026年開業
大和ハウス工業や住友商事、関電不動産開発が開発を進める、大阪メトロ御堂筋線「淀屋橋」駅直結の29階建て高層複合ビルの名称を「淀屋橋ゲートタワー」に決定した。2025年12月の竣工、2026年の開業を予定している。調査レポート:建設大手58社の7割が増収、売上高は前年度比6.9%増 2024年度業績動向
帝国データバンクの調査によると、主要上場建設会社58社の2024年度売上高合計は21兆3547億円となり、前年度比6.9%増加した。約7割に当たる41社が増収となった。現場管理:工事用仮設エレベーターの稼働状況をリアルタイム監視、揚重作業を効率化
五洋建設とセンシンロボティクスは、工事用仮設エレベーターのモニタリングシステムを開発した。五洋建設が施工中のマンション建設現場へ適用し、その有効性を確認した。プロジェクト:「鷺沼」駅直結の32階建てビル誕生、東急の2.3ha再開発が今冬着工
東急と東急電鉄は、2025年冬頃に神奈川県川崎市宮前区の「鷺沼」駅改良工事に着手する。再開発ビル地下1階に直結する駅改札口を新設し、駅北口と再開発ビルを結ぶ南北自由通路を整備する。竣工は2031年度の予定。プロジェクト:豊洲二〜三丁目大規模再開発のラストピース「豊洲セイルパーク」完成、IHIと三菱地所
東京都江東区豊洲の「豊洲セイルパークビル」の商業エリアが2025年7月に開業し、三菱地所とIHIが進めていた豊洲二〜三丁目地区最後の大規模再開発となる「豊洲セイルパーク」が完成した。かつての東京石川島造船所の企業城下町から、「職、住、遊、学」が融合する街へと変貌を遂げた。