持ち家vs賃貸論争、不動産は今が買い時? 9月23日“不動産の日”に「住宅居住白書」公開:不動産市況(3/3 ページ)
全宅連と全宅保証は、9月23日の「不動産の日」に、住まいに関する意識を全国5000人に調査した「2025年住宅居住白書」を公開した。不動産を「買い時だと思う」は20.8%で、2024年に比べ増加。持ち家派vs.賃貸派では、「持ち家派」が63.0%と上回った。2022年5月に不動産取引で解禁された「電子契約」の利用経験は、全体で15%しかなかったが、20〜30代では3人に1人の割合となり、若年層を中心に利用が広がっている。
住まい探しと契約に、デジタル化の浸透
物件探しで「あると便利」な情報として、「物件の写真」(54.3%)がトップ。「物件紹介の動画」を求める声が26.3%と前年から4.9ポイント増え、2年連続で上昇している。また、「周辺物件の相場」(36.9%)は前年より2.7ポイント増加し、ここ数年間で初めて上昇に転じた。
2022年5月に解禁された不動産取引の電子契約は、全体の利用経験率は15.0%しかなかったが、20代では32.6%、30代では21.0%と賃貸借が多い若年層を中心に利用が広がっている。
空き家問題は、深刻化と対策への意識変化
空き家問題に関しては、「既に空き家になっている」(11.9%)と前年の10.0%から1.9ポイント増加。「将来空き家になる可能性がある」(25.1%)を合わせると、全体の37.0%が空き家問題を抱えており、着実に進行している実態が分かった。
エリア別では、中国地方(33.8%)、東北地方(30.4%)、九州地方(30.4%)で、3割を超える世帯で空き家リスクがある実情が判明した。
対策については、「話し合いの必要を感じつつもまだ行っていない」が36.1%で最も多い。ただ、「放置/何も考えていない」(18.7%)が前年よりも3.8ポイント減少し、「売却する手続きを進めている」(19.6%)が2.8ポイント増加しており、空き家問題を自分ごととして捉え、具体的な行動に移す人も増えている。
有効な対策としては、「解体費用の補助」(33.5%)に続き、「空き家の利活用から解体、国庫返納など、幅広く相談できる機関の設置」(26.1%)が前年の13.9%から12.2ポイントもプラス。包括的なサポート体制への需要が急激に高まっている。
不動産会社への期待は、透明性と分かりやすさ
不動産店選びで重視するポイントの最多は「担当者」(22.4%)。その担当者に最も期待することは、「わかりやすい説明」(20.9%)と「メリットだけでなく、デメリットなど全て隠さず情報を伝えてくれること」(20.5%)がほぼ同率で首位となった。取引情報の透明性と誠実な対応が強く求められている。
また、2024年4月から始まった建築物の「省エネ性能表示制度」では、「全く知らなかった」(46.1%)、「名前は聞いたことがある」(14.2%)。「よく知らないが、今後、住まい選びの参考にしたい」(13.9%)、「よく知っていて、今後、住まい選びの参考にしたい」(7.6%)の結果なり、2割強が住まい選びの参考にすると回答した。
住まいに関する定点/意識調査
調査期間:2025年7月30日〜8月4日
有効回答:20〜65歳の全国の男女5000人
調査方法:インターネット調査
監修:全国宅地建物取引業協会連合会 リサーチチーム
(※)本記事の一部は、制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
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