日本の遠隔施工技術でウクライナの復興を支援、国交省が現地調査:i-Construction 2.0
国土交通省は、ウクライナの建設現場での遠隔施工技術の普及に向けて、民間企業とともに現地調査を実施した。
国土交通省は2025年8月4日、ウクライナの建設現場での遠隔施工技術の普及を目指し、現地での事前調査を実施したと発表した。
ウクライナでは今後、大規模な建設需要が見込まれる一方で深刻な人手不足が課題となっている。国交省は日本の建設現場での運用実績があり、災害復旧などにも活用されてきた遠隔施工技術を普及を通して、男女を問わず安全な場所から建設機械を操作できる環境の整備を目指す。
調査は2025年7月28〜31日にかけて、国交省総合政策局海外プロジェクト推進課と八千代エンジニヤリング、ソリトンシステムズ、コーワテック、コベルコ建機の民間4社が参加した。現地ではウクライナ政府機関や国際金融機関、現地/第三国の協力企業などと会談し、実証実験や技術普及に向けた協力について議論した。また、がれき処理現場や実証会場候補地の視察も行った。
国交省は今後、ウクライナ国内で実証実験を行い、関係機関へのデモンストレーションと課題抽出を実施。復旧/復興工事への要件化に向けて関係機関へ働きかける。まずは、侵略により破壊された施設のがれき処理での導入を計画している。女性や戦傷者を含む幅広い人材の雇用機会創出にもつなげたい考えだ 。
国交省は2025年1月、ウクライナのインフラ復興へ日本企業参画を加速させるため、「日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会」(JUPITeR)を設立。JUPITeRでは復興支援として、ウクライナ政府に対し日本の技術/知見を共有するとともに、会員企業に対してウクライナの現地情勢や復興ニーズ、復興プロセスへの参入方策などに関する最新情報を提供し、案件形成に向けた支援を行う。
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