ずり出しに使うホイールローダとバックホウの自動施工システムを開発、西松建設:山岳トンネル工事
西松建設とジオマシンエンジニアリング、アラヤは共同で、ホイールローダとバックホウの自動施工システムを開発し、山岳トンネル施工の一次ずり搬出作業の自動化に成功した。
西松建設は2025年3月21日、ジオマシンエンジニアリング、アラヤと共同で、山岳トンネル施工の一次ずり搬出作業に使用するホイールローダとバックホウの自動施工システムを開発したと発表した。栃木県那須塩原市にある自社山岳トンネル技術開発拠点「N-フィールド」の模擬トンネルで新システムの実証試験を行い、実用性を確認した。
西松建設は山岳トンネル無人化/自動化施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」を開発を進めている。今回の自動化施工技術は、Tunnel RemOSの遠隔施工技術をベースに、重機の走行やずりのすくい上げといった一連の動作を自動化したもの。オペレーター削減による省人化と操作技量に左右されない安定した施工を実現する。作業の状況に応じて自動化施工と遠隔施工の切り替えも可能だ。
自動施工システムを適用したホイールローダは、事前に設定した走行レーンに沿って、ずり出しにおける一連の走行動作とバケット動作を自動で実施。オペレーターが、ずりの位置に応じて、タブレットなどの操作端末で走行レーンを選択するだけで操作が完了する。
バックホウは、機体に搭載した複数のセンサーを使用して周囲の環境を検知しながら、駐機場所と切羽間の走行と、切羽でのずり集積作業を自動で行う。ずりの形状を認識し、機体のブーム/アーム/バケットの角度を制御してすくい上げ、ホイールローダが収集しやすい位置まで旋回して集積する。作業中にホイールローダの接近を検知した場合は旋回範囲を制限して衝突を防止。狭い切羽での同時作業でも安全性を確保した自動化施工を実現する。
西松建設は今後、自動化施工技術をさらに発展させ、ブレーカなどにも適用範囲を拡大する計画だ。山岳トンネル施工で使用する重機全般の自動化施工技術開発/適用を通してTunnel RemOSの構築を進め、切羽作業の完全無人化を目指す。
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