ICT施工、6割が「取り組んでいる」 BIM/CIM活用工事は発注は限定的 全建調査:産業動向(2/2 ページ)
全国建設業協会は全国の会員企業を対象に実施した「生産性向上の取り組みに関するアンケート」の結果を公表した。ICT施工の取り組みが中小企業にも広がる一方、BIM/CIM活用が進んでいないことなどが分かった。
BIM/CIM活用工事の受注実績は14.1%にとどまる
一方、BIM/CIMについて、「活用工事の受注実績がある」と回答した企業は14.1%にとどまり、ICT施工と比較すると発注が進んでいない結果となった。受注実績のうち、発注者指定型工事が49.5%、受注者希望型工事が69.7%だった。工種は国の発注で「土工」や「構造物工」が、都道府県と市町村では「土工」が多かった。
CIM(土木分野)は「既に活用実績がある」と回答した企業が14.7%、「今後活用したい(準備を進めている)」が19.8%となった。活用内容については、「発注者や施工関係者間の合意形成」が64.0%、「施工ステップの可視化による合意形成の円滑化」が61.8%、「工事にかかわる管理データの一元管理」が48.4%だった。
BIM(建築分野)は、「既に活用実績がある」と回答した企業が3.5%、「今後活用したい(準備を進めている)」が11.0%にとどまった。活用内容については、「発注者や施工関係者間の合意形成」が63.5%、「施工計画への活用」が62.1%、「施工図作成」が60.7%だった。
一方、導入時の課題として、「BIM/CIMに精通した技術者の採用/育成が必要」という人材面の課題が最多で65.9%、次いで「ハードウェア、ソフトウェアが高額」というコスト面の課題が49.8%となった。
BIM/CIM活用の効果や期待する点として、「施工ステップの可視化による安全性や作業効率の向上」が53.6%、「設計内容の可視化による理解度アップ、関係者の合意形成」が52.6%と半数を超えている。
現場のデジタル活用は着実に進捗
また、現場技術者の負担軽減などの現場支援の取り組みとして、「社内書類の削減/簡素化」が46.7%、「受発注者間の情報共有システム(ASP方式)活用による現場情報共有」が45.0%、「遠隔臨場による監督/検査」が29.3%となった。全ての項目で前年度を上回っており、建設現場におけるデジタル活用が着実に広がりつつあることも確認された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ドローン:ドローンでインフラ点検効率化、リベラウェアと九電ドローンサービスが提携
Liberawareと九電ドローンサービスは、老朽化が進む下水道などのインフラ設備に対する効率的な点検/維持管理を目指し、業務提携に関する覚書を締結した。“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(32):BIM/CIMの歴史と本質を学会論文で振り返る【土木×ICTのBack To The Basic Vol.4】
日本の「BIM元年」となった2009年の「BIM元年」から早16年。現在では設計だけでなく製作や施工、さらに維持管理でのデータ連携が進み、ISO 19650が示すようにBIMのI(属性情報)を建設生産プロセス全体で、どうマネジメントするかが重要となっています。直近では国交省による補助金事業も、2025年度も継続されるなど、国を挙げてBIM/CIMを後押しする動きも本格化しています。そこで今回は、BIM/CIMの歴史を今一度振り返るとともに、土木分野での可能性を解説します。BIM/CIM:BIM/CIM活用でMC施工を効率化、3Dデータを一貫活用 清水建設
清水建設と日本道路は、施工検討段階で使用した3Dデータを施工フェーズにそのまま展開する、BIM/CIMを基軸としたシームレスなデータフローを構築した。今回、BIM/CIMにひもづいた施工検討データを舗装切削工事のマシンコントロール施工に活用し、高精度な切削機械の自動運転を実現した。BIM:BIM/CIM配筋モデルと2D図面を同時生成する独自ツールの販売開始、テラドローン
Terra Droneは、コンクリート工事でBIM/CIM配筋モデルを活用する際、修正の手間や数量計算の間違い、精度のバラツキを解消する独自ツールを発売する。必要なデータを入力するだけで、3Dモデルと2D図面が同時に生成され、設計変更時にも双方が連動して修正できる。ドローン:遠隔監視ドローン×3D点群データ自動作成で土量管理を省人化、手動測量の20分の1に ミライト・ワン
ミライト・ワンと西武建設は、遠隔監視ドローン「Skydio Dock for X2」と3D点群データの自動作成により、土量管理の省人化、迅速化を実現した。土量管理の作業時間を手動測量に対して20分の1、従来のドローン測量に対して4分の1に短縮する。建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(6):ICT活用で施工管理に変革の兆し 重責ある“5大管理”を効率化!【連載第6回】
連載第6回は、4大または5大管理と呼ばれる建設業の施工管理にフォーカス。施工管理を効率化する建設ICTツールとして、施工管理アプリや特殊カメラ、レベル4解禁後でも普及が進まないドローンなど、それぞれのメリットと現状の課題などを踏まえながら解説します。