建設分野の研究開発を促進する「SBIR制度」で、接触作業ドローンや石垣BIMなど19件採択:産業動向
国土交通省は、建設分野でスタートアップ企業や大学などの研究開発を支援する「SBIR制度」で、新規課題19件を採択した。建築物の耐久性を評価する接触作業ドローンや石垣をAIでBIM化する技術などが選定されている。
国土交通省は2025年6月20日、スタートアップや大学などの研究者を対象に建設分野の研究開発を補助する「SBIR建設技術研究開発助成制度」で、新規19件を採択したと発表した。
一般タイプ6件、中小/SU企業タイプ13件を選定
SBIRとは、Small/Startup Business Innovation Researchの頭文字。スタートアップ企業などの研究開発を促進し、イノベーション創出につなげるための制度を指す。今回採択した新規課題は、一般タイプ6件(応募総数25件)、中小/スタートアップ(SU)企業タイプ13件(応募総数17件)だった。
一般タイプ6件の主な研究開発には、西武建設による建築物の耐久性評価を可能にする接触作業ドローンの開発、東京理科大学の動画撮影搭載型衛星データと視点固定化技術を用いた河川流量観測技術があった。他にも、人機一体の山岳トンネル工事で危険を伴う装薬作業を遠隔操作するロボット開発、奈良文化財研究所の「石垣BIM」と称するなど石造構造物の3Dモデルから個々の石材をAIで自動識別して3DCADデータを生成するシステムなどが選定された。
中小/スタートアップ企業タイプ13件で主なものは、豊建の杭打込み不良を無くす既存杭引抜き後の埋め戻し材と工法、ナカダ産業の破砕貝殻を合成繊維ネットに充てんした河川堤防用「シェルネット型透過性表面被覆工」、山形化学の「発泡を利用した新建築工法に関する研究」など。
国土交通省は2025年1〜3月にかけて、建設分野の生産性向上やカーボンニュートラルの実現などに資する技術開発課題を公募した。その後、有識者などで構成される評価委員会が審査し、今回の19件の採択に至った。
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