ニュース
国交省が「3D地図整備システム」試行運用 点群データ活用、ロボットの移動支援:産業動向
国土交通省は、複数の3D点群データを統合処理できる「3D地図整備システム」のプロトタイプを構築し、試行運用を開始した。人やロボットの移動支援サービスにおいて、歩行空間の3D点群データの活用が可能になる。
国土交通省は2025年5月23日、歩行空間の段差や縦断勾配といったバリア情報の抽出、自動配送ロボットなどのモビリティの走行環境構築に向けて、複数の3D点群データを統合処理できる「3D地図整備システム」のプロトタイプを構築したと発表した。同日から試行運用を開始。地方公共団体、大学などの研究機関、民間事業者などは申請により利用できる。
3D点群データの整備/更新を通じて人やロボットなどの移動を支援
3D地図整備システムは、3D点群データの効率的な整備や更新を通じて人やロボットなどの移動支援に活用するため、多様な3D点群データを取り込んで統合し、オープンデータとして管理する仕組みだ。
システムは、「取得データ管理」「統合処理履歴管理」「公開情報管理」の3つの機能から成る。取得データ管理では、多様な手法で取得した3D点群データと各データの取得日時、取得機器の諸元情報、位置精度などを格納するメタデータを登録。データに含まれる人や車両などのノイズを除去する。
統合処理履歴管理では、専用ビュワー上で複数データの位置ずれを補正したうえで統合し、その作業履歴も管理する。
公開情報管理では、各データの取得から統合処理までの状態を把握し、公開可能データを管理。ダウンロードなどによる統合した3Dデータの提供を行う。別途整備する歩行空間ネットワークデータ整備システムなど他システムとの情報連携も担う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
現場管理:作業内容から災害事例を自動抽出、労災事例検索/施工管理サービスを連携 東急建設
東急建設は、労働災害事例検索システム「K-SAFE」と施工管理サービス「Buildee調整会議」を自動連携し、業務効率化する仕組みを構築した。デジタルツイン:「中野サンプラザ」を国際航業がデジタルアーカイブ化 商用利用可の点群と3Dデータを公開
東京都中野区は、「中野サンプラザ」をデジタルアーカイブとして残すべく、国際航業に委託して計測した3D点群データと点群をもとに作成した3Dモデルを公開した。建物内観はMatterportの360度カメラでも撮影し、Web上で誰でもヴァーチャル見学ができる。産業動向:国交省がドローンや空き家など行政情報をオープンデータ化 「Project LINKS」始動
国土交通省の分野横断的なDX推進プロジェクト「Project LINKS」が始動した。行政情報をデータとして再構築し、活用しやすく整備することで、データに基づく政策立案や、オープンイノベーションの実現を目指す。PLATEAU:土砂災害や熱流体解析に関するシミュレーションシステムを開発、構造計画研究所
構造計画研究所は、2023年度の「Project PLATEAU」のユースケース開発に参画し、土砂災害シミュレーションや熱流体解析に関する大規模シミュレーションを開発した。GIS:600種類以上のGISデータ実装 土地の可能性を地図で可視化する竹中工務店の「GISCOVERY」
竹中工務店は、独自に保有する建築や土地に関するデータと、有償/無償のデータを600種類以上統合したGISデータプラットフォーム「GISCOVERY」を構築した。GISCOVERY上には、3D都市モデルや防災計画、都市計画、緑地、人口動態、交通量など膨大なデータを整備し、土地選定や土地評価、建築提案に有効活用できる。デジタルツイン:「みんなのまちAI」でデジタル上に街を再現、人流分析でNTT西が都市計画を支援
NTTビジネスソリューションズとNTT西日本は、建物や人流など都市の持つ多様なデータを可視化するソフトウェア「みんなのまちAI」を活用した街づくり支援に乗り出す。自治体をはじめ、建設コンサルティング会社などの民間企業との協業やパートナー連携も視野に入れる。