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浸水被害を「ワンコインセンサー」でリアルタイム検知、232自治体で実施:スマートコンストラクション
国土交通省は2025年度に、232の自治体で「ワンコイン浸水センサー」の実証実験を行う。浸水の危険性がある地域に小型で長寿命、低コストのセンサーを設置し、センサーの特性や情報共有の有効性などを検証する。
国土交通省は2025年6月20日、2025年度に232の自治体で「ワンコイン浸水センサー」の実証実験を行うと発表した。浸水の危険性がある地域に手ごろな価格のセンサーを設置し、リアルタイムで浸水状況を共有する。
近年、大雨による浸水被害や河川の氾濫が頻発している。迅速な災害対応や情報発信のために、浸水状況を広範囲にわたって速やかに把握することが求められている。また、流域で活動する企業からも、店舗や事業施設の管理、保険金支払いなどの災害後の対応のために、浸水状況を容易に把握する仕組みへのニーズが高まっている。
実証実験では官民連携の取り組みにより、小型で長寿命、低コストのワンコイン浸水センサーを堤防や流域内に多数設置。センサーの特性や情報共有の有効性などを検証する。各センサーから収集した情報は一元管理し、Webサイト「浸水センサ表示システム」を介してリアルタイムで浸水状況を共有。これにより、ポンプ設置のタイミングや通行可否の判断などに活用可能となる。
現在は自治体や企業、大学などさまざまな関係者が実証実験に参加中だ。2025年度の事業では、多様な検知方式や通信方式による9社のセンサーを使用。国交省は実証実験を通じて、参加地域での浸水センサー活用事例の収集や分析などに取り組む。
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