首都高日本橋地下化と5つの再開発で東京に“水都”誕生、幅100m×長さ1.2kmの日本橋リバーウォーク:プロジェクト(2/2 ページ)
首都高の日本橋区間1.8キロ地下化と5つの周辺再開発で、日本橋川沿いに東京の“水都”が誕生する。5つの再開発によるエリア名称は「日本橋リバーウォーク」で、2040年度の高架撤去後には日本橋が空を取り戻し、幅100メートル×長さ1.2キロにわたり、失われた景観と水辺環境を再生して新たな都市空間が創出される。
「水と緑 広がる街」「東京の新しい顔」「創る人 支える街」
日本橋川沿いの景観と、日本橋上空にかかる首都高の老朽化という2つのテーマは、これまで行政主導で議論と検証が進められてきた。
エリアマネジメントでは、官民の枠を超えた多様なプレイヤーが協力し、6つの重点課題に取り組む。1.東京の新しいランドマークとなる景観形成、2.環境や生態系の確保による豊かな水辺の再生、3.国内外の注目を集める国際都市への更なる進化、4.高速道路機能の維持、舟運の活性化など交通利便性の維持/向上、5.地域が育んできたイノベーションの連鎖の促進、6.より多様な文化/産業の創出。こうした重点課題に対して官民地域が一体となり、「水と緑 広がる街」「東京の新しい顔」「創る人 支える街」の3テーマを実現する。
水と緑 広がる街では、街が川に向かって再び開かれ、人や川、街が一体となった都市空間を想定。人々が憩い、人と川の距離が近づく居心地よい親水空間、水質改善や陸域での緑地環境も整備する。
東京の新しい顔としては、再開発で東京駅の東側は一体性が強化され、都市機能が大きく向上する。商業、オフィス、居住環境の充実とラグジュアリーホテルやサービスアパートメント、ホールといった都市機能が加わり、国際的なMICEにもふさわしいビジネスの街としても進化する。
創る人 支える街では、そもそも日本橋/八重洲エリアは江戸時代から、イノベーションの街として全国から集まる挑戦者を受け入れ、支えてきた街。当時の「イノベーター」は現代の「老舗」となり、新たなイノベーターと共に切磋琢磨して成長を重ねてきた。日本橋リバーウォークの取り組みを通して金融、イフサイエンス、宇宙、食などさまさまな領域の挑戦者がエリアに集い、イノベーションの連鎖はこれからも絶えることなく、より拡大することを見込む。
今回設立したエリアマネジメントは、日本橋一丁目中地区、八重洲一丁目北地区、日本橋室町一丁目地区、日本橋一丁目東地区、日本橋一丁目1/2番地区の各再開発組合で構成。今後は、公式Webサイトで情報発信などを行う他、首都高や東京建物、東急不動産、三井不動産が共同運営するプレゼンテーション拠点「VISTA」も活用。映像や模型の他、地下化工事の概要、日本橋/八重洲エリアの地域資源やエリアの可能性を語るグラフィック展示で多角的に紹介する。
日本橋川上空の首都高は、都心部の渋滞解消を目的に、1964年の東京五輪前に建設し、1963年の開通から60年以上が経過している。1日あたりで約10万台の自動車が走行する過酷な使用状況にあり、構造物の損傷が激しく、更新が急務となっている。
更新に当たっては「立体道路制度」を活用し、区間の約1.8キロで建物の地下にトンネルを整備し、再開発街区と一体となって地下化事業を進める。地下ルートの開通は2035年度、高架橋撤去は2040年度の予定。
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