建設現場の廃プラを現場で高度選別、有価売却 清水建設が都内現場に導入:サーキュラーエコノミー
清水建設は、建設現場で発生したプラスチック廃棄物を現場内で樹脂種類ごとに分別し、再資源化材として有価売却するマテリアルリサイクルスキームを構築。都内の建設現場に導入した。売却対象となる廃プラスチックは、総廃棄物量の約2割に相当する約4000立方メートルを想定している。
清水建設は2025年5月8日、建設現場で発生したプラスチック廃棄物を現場内で樹脂種類ごとに高度分別し、再資源化材として有価売却するマテリアルリサイクルスキームを構築したと発表した。現場展開の第一弾として「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の建設現場に導入した。
建設現場で発生する廃プラスチックは主に、焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルに利用されている。一部では、廃プラスチックを新たな製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルも進められているが、特定のプラスチック製品の回収/再資源化にとどまっているのが現状だ。
清水建設のスキームは、現場で回収した多種多様な廃プラスチックを、現場作業員がプラスチックセンサーを使用してポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの材質レベルで分別し、有価物として売却できる再資源化材を選別するのが特徴。
総廃棄物量の約2割に相当する約4000立方メートルを売却
日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の建設現場では、主に軟質/硬質の非塩化ビニル系プラスチック、塩化ビニル管を対象に有価売却/リサイクルを実施。売却対象の廃プラスチック量は、現場で発生する総廃棄物量の約2割に相当する約4000立方メートルを見込む。
現場では廃棄物保として管場所を「資源回収ヤード」を、廃棄物全般を管理する専任作業員「グリーンマスター」を配置。ヤードに持ち込まれた廃プラスチックの材質を作業員がハンディ型のプラスチックセンサーで確認し、付着物の性状や汚れの程度なども踏まえて有価売却対象物を選別する。軟質非塩化ビニル系廃プラスチックは圧縮機で減容化し、運搬に伴うCO2排出量削減にも取り組んでいる。選別後、関東圏の再資源化事業者が原料としての利用可否を判定し、リサイクルプラントに搬出する。
プラントでは材質ごとに分けられた廃プラスチックを細かく粉砕してフレーク化し、その一部を溶かして粒状の再生ペレットに加工。フレークと再生ペレットはプラスチック製品の原料として再生プラスチック製品メーカーに販売する。
清水建設は、大規模現場から発生する産業廃棄物の3〜4割を占めるという廃プラスチックのマテリアルリサイクルが普及することで、資源循環社会の実現に大きな貢献につながるとし、今後も自社の建設現場で同スキームによるリサイクルを順次展開していく考えだ。
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