「みんなのまちAI」でデジタル上に街を再現、人流分析でNTT西が都市計画を支援:デジタルツイン
NTTビジネスソリューションズとNTT西日本は、建物や人流など都市の持つ多様なデータを可視化するソフトウェア「みんなのまちAI」を活用した街づくり支援に乗り出す。自治体をはじめ、建設コンサルティング会社などの民間企業との協業やパートナー連携も視野に入れる。
NTTビジネスソリューションズとNTT西日本は2024年4月4日、建物や人流などの都市が持つ多様なデータを可視化してデジタル上に街を再現する「みんなのまちAI」を活用し、街づくり支援業務を開始した。都市データの収集や分析、レポートの提供などを通じて、都市計画や観光促進をサポートする。自治体をはじめ、建設コンサルタントなどの民間企業との協業やパートナー連携も視野に入れる。
独自のアルゴリズムに基づき詳細な人流を地図上に表示、人流変化予測にも対応
みんなのまちAIは、人流や建物データ、地図、国勢調査情報などのオープンデータといった都市の分析に必要なさまざまなデータを標準装備し、直感的な操作で活用が可能だ。都市シミュレーション機能も搭載し、商業施設や道路などを建設した際の人流変化も予測できる。
特徴の1つが、センサーレスで粒度の高い人流分布を表示できることだ。携帯電話の基地局情報データをもとに、周囲の建物や建物内のテナント情報から、人の引き寄せられる位置を独自のアルゴリズムに基づいて計算し、詳細な人流を地図上に表示する。ビーコンなどのセンサーを設置してデータを取得する必要はなく、導入後すぐに人流を確認できる。過去の人流や広範囲の人流を表示することで、街づくり前後の比較も容易だ。さらに、オープンデータを組み合わせて街にどのような人々が集まっているかを推計し、仕事を目的に集まっている人がどこにいるかなど、より詳細な人流分析も可能だ。
都市シミュレーション機能では、人流分布計算を応用して、地図上に任意の建物や道路を描いて建造物が存在した場合の人流を予測するなど、一定の条件下で人流シミュレーションを行う。
活用例として、公共施設の建設場所の選定や施設の統廃合時の人流への影響の確認、公共交通空白地域への新たな交通手段の導入検討、鉄道沿線の男女/世代別人口や各駅人流データを考慮したプロモーション戦略の策定などを想定する。
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