国交省がドローンや空き家など行政情報をオープンデータ化 「Project LINKS」始動:産業動向
国土交通省の分野横断的なDX推進プロジェクト「Project LINKS」が始動した。行政情報をデータとして再構築し、活用しやすく整備することで、データに基づく政策立案や、オープンイノベーションの実現を目指す。
国土交通省は2024年7月10日、国土交通分野のデータ整備/活用/オープンデータ化プロジェクト「Project LINKS(プロジェクトリンクス)」を始動し、プロジェクトの成果やイベント情報などを発信するティーザー版Webサイトを公開したと発表した。
LINKSは国交省の分野横断的なDX推進プロジェクト。これまで活用されていなかった行政情報を機械判読や二次利用が可能なデータとして再構築し、データに基づく政策立案(EBPM)や、新規ビジネスの創出を目指す。今後、Webサイトを通じて、オープンデータやユースケースを順次公開し、活用しやすく整備することで、社会全体の生産性向上につなげる。
データの公開は2024年9月以降を予定している。具体的には、ドローンなどの無人航空機の事故情報や飛行計画情報などを地理空間情報と統合したGISデータを整備し、オープンデータとして公開する。また、行政情報などの既存データを活用して、機械学習アルゴリズムにより建物単位で空き家かどうかを推定し、GISデータとして出力できるシステムの構築にも取り組む。
初年度となる2024年度中には「LINKS:DATA×Hackathon 国土交通分野のオープンデータ活用チャレンジ」をテーマとした開発イベントを開催する。2024年9月にキックオフ、同10月にアイデアソン、同11月にはハッカソンを行う予定だ。さらに、連動した開発イベントとして、公共交通オープンデータ活用にフォーカスした「公共交通オープンデータチャレンジ 2024〜powered by Project LINKS〜」を、公共交通オープンデータ協議会と共同で実施する。期間は2024年7月16日から2025年3月14日までを予定している。
行政情報の再構築にデータ構築基盤「LINKS Veda」活用
LINKSでは、データ構築基盤「LINKS Veda」を開発し、行政情報を再構成している。行政手続などを通じて国交省が保有するWordやExcel、PDF、紙などの元のファイル形式でバラバラに保存されたままの非構造データを、ルールに沿った構造データに変換するシステムだ。大規模言語モデル(LLM)で自然言語を解析し、非構造データから意味情報を抽出して指定されたカラムに格納して、テーブルなどに構造化されたデータを自動生成する。これにより、大量の行政情報をデータとして扱うことが可能になった。
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