清水建設の名古屋支店がWELL認証最高評価の「プラチナ」取得:WELL
清水建設の名古屋支店社屋が、WELL認証最高評価の「プラチナ」を取得した。社屋は2024年7月に供用を開始。清水建設によると中京地区でのプラチナ取得は今回が初。
清水建設は2025年3月31日、名古屋市中区丸の内にある「名古屋支店社屋」が、WELL認証で最高評価のプラチナを取得したと発表した。社屋の象徴的な空間「吹抜ラウンジ」が認定審査での高得点取得につながったとしている。社屋は2024年7月に供用を開始しており、清水建設によると中京地区でのプラチナ取得は今回が初となる。
WELL認証は、効率的な建築空間の活用や生産性向上につなげる仕組みなどの工学的な要素に加え、その空間で過ごす人のウェルネス(精神的、身体的、社会的な健康)を重視する米国生まれの空間評価システム。最高評価のプラチナの他、評価順にゴールド、シルバー、ブロンズの3ランクがある。2025年3月現在で日本国内の認証取得施設は75件で、この内プラチナは37件。
名古屋支店社屋は、清水建設、富国生命、清水総合開発の3社が開発したオフィスビル「名古屋シミズ富国生命ビル」の10階と11階の2フロアに入居する。オフィスでは、WELL認証の評価対象となる人の健康をサポートし、向上させるための10のコンセプト(空気、水、植物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)について多様な仕掛けを施し、110点満点中84点を獲得した。
偶発的なコミュニケーションを生む仕掛けに
建物の設計コンセプトは「人と人がつながるコミュニケーションHUB」。その象徴的な空間が、2フロアにまたがる「吹抜ラウンジ」だ。光膜天井に照らされた吹抜ラウンジの中心には、55インチのディスプレイ36面で構成する高さ4.1メートル、幅7.2メートルの大型スクリーンを配置。周囲にさまざまな打ち合わせスペースを設け、偶発的なコミュニケーションを生む仕掛けとした。
清水建設技術研究所が半年にわたり定点カメラで実施した調査でも、吹抜ラウンジ周辺でのコミュニケーション頻度が増加していることが確認されている。スクリーンには、利用目的に応じた映像を投影でき、利用者がいない時間帯には、名古屋支店が管轄する現場や営業所の様子をリアルタイムで表示し、支店の一体感を醸成。出退社や昼休みの時間帯にはヒーリング映像を流している。
また、切り替え可能なセキュリティ計画により、イベント開催時には外部の第三者も吹抜ラウンジに入場できるようにした。
この他にも、オフィスでは、色温度や明るさなどを制御し生体リズムを整えるサーカディアン照明や周囲の会話や雑音を感じにくくするサウンドマスキング、快適な温熱環境を提供する輻射空調などを採用している。
名古屋シミズ富国生命ビルは、地上16階建て、敷地面積は4820.79平方メートル、延べ床面積4万7963.16平方メートル。設計施工は清水建設。竣工は2024年3月28日。
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