富山で「YKK AP30ビル」が竣工、環境と従業員の健康に配慮した新オフィス:プロジェクト
YKK APが富山県黒部市のYKK AP黒部製造所内で建設を進めてきた「YKK AP30ビル」が竣工した。製造部門の本部機能と本社機能の一部を有し、部門間と東京本社との連携を強化する。また、YKK APの歴史や理念について展示する「フィロソフィーホール」を整備し、従業員や取引先にYKK APブランドを発信する拠点として活用する。
YKK APは2024年10月29日、富山県黒部市のYKK AP黒部製造所内で建設を進めてきた「YKK AP30ビル」が竣工したと発表した。製造部門の本部機能と本社機能の一部を有し、部門間と東京本社との連携を強化する他、YKK APの歴史や理念について展示する「フィロソフィーホール」を設置して従業員や取引先にYKK APブランドを発信する拠点として活用する。
YKK AP30ビルは、S造(一部RC造)の地上3階建て、建物高さは19.48メートルで、延べ床面積は6932平方メートル。設計は日本設計、施工は前田建設工業が手掛けた。投資額は約58億円。自然環境と働く社員の健康に配慮した「杜(もり)の中のオフィス」を掲げている。
建物全体の省エネ設計に加え、風や光を活用するパッシブデザイン、敷地内の太陽光発電などに取り組み、年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロまたはマイナスとなる『ZEB』を実現。WELL認証でも最高ランクのプラチナの取得を進めている。また、建物外壁のカーテンウォールに100%アルミリサイクル材を使用するなど、カーボンニュートラルと循環経済実現に向けた取り組みを推進している。
施設全体をオープンオフィス化、働く場所や環境を社員が選択
YKK AP30ビルは施設全体をオープンオフィス化した。その時々の作業やコミュニケーションの種類によって働く場所を選択する「ABW(Activity Based Working)」、心身のコンディションや個人の感覚で働く環境を選ぶ「EBW(Environment Based Working)」の考えに基づき、社員が心理的、体験的につながるオフィスとして設計した。集中したい時は個室ブースで、リラックス時にはテラスで自然の風や光を感じながら作業するなど、業務や自身の状況に応じて働くスペースを選択できる。
2階は眺望や豊かな自然環境を享受できる窓際を生かしたゾーニング、3階は立山連峰や富山湾、能登半島への眺望を活用したカフェテリアと社員ラウンジとして整備した。製造部門と本社機能の社員が勤務することで、部門間の連携を強化する。社員であれば誰もが入館して働き、食事が可能だ。
また、地域の気候や植生を生かし、自然の風や光を有効活用して快適性と省エネ性を両立させた。風上、風下のどちらからも風を取り込みやすく、風向きを問わずに自然通風や換気が可能だ。富山県内で見られる「カイニョ」と呼ばれる屋敷林の役割から学び、建物の南西には高木や密度の高い植栽、北東側には低木や密度の低い植栽を配置して執務に適した穏やかな風を取り込みやすくした。また、方位ごとの太陽特性に適した日射の遮蔽対策を行うとともに、自然光を取り入れることで照明に頼り切らず安定的に明るい環境を実現している。
建物には、自社製品のオーダーカーテンウォール、ビル用窓「SYSTEMA 31」、自然換気窓「EXIMA31 バランスウェイ」、木質インテリア建材「フローリング タフテクト」や「リウッドデッキ200」を採用した。
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