施工履歴データ収集、チルトロテータ自動制御の新ショベルシステム発売 トプコン:製品動向
トプコンは、リアルタイムで作業の進捗を把握できる施工履歴データの収集/記録機能や、ショベルのバケットを傾斜/回転させる「チルトローテータ」の自動制御機能を備えた、油圧ショベル用の新たなICT建機システム「MC-Maxショベル」を発売する。
トプコンは2025年3月10日、油圧ショベル用の新たなICT建機システム「MC-Maxショベル」を発売すると発表した。リアルタイムで作業の進捗を把握できる施工履歴データの収集/記録機能を備え、ショベルのバケットを傾斜/回転させる「チルトローテータ」の自動制御機能によって、オペレーターの技能に左右されない安定した施工品質の実現を目指す。
新システムは、衛星測位システム(GNSS)や測量機器「トータルステーション」を位置情報センサーとしたマシンガイダンスとマシンコントロールの両方に対応する。
MC-Maxショベルの特徴の1つが、バケットの刃先位置を正確に計測して施工履歴データとして記録できる点だ。データを施工管理に活用することで、従来は手作業で行っていた出来形検査の省略が可能になるという。複数の建機からデータを集約すれば、施工管理のリアルタイム化や高精度化、リモートでの管理も実現できる。
また、バケットを人間の手首のように自由に動かせるチルトローテータの自動制御機能も搭載した。1か所での作業範囲が広がることで、建機の移動回数や距離を削減でき、複雑な地形や法面の整形、狭小スペースでの作業も容易になる。オペレーターの負担軽減により作業精度とスピードの向上が期待できるとしている。
操作端末には10.1インチの大型ディスプレイ「GX-90」を採用し高い視認性を確保。マルチタッチ対応により、拡大や縮小などの直感的な操作が可能だ。
また、通信範囲が半径約300メートルの長距離Bluetooth通信「LongLink」を搭載。現場にLongLink対応のGNSS受信機を基準局として設置することで、追加のランニングコストのかからないマシンガイダンス/マシンコントロール施工ができる。1基準局から3台の建機をコントロール可能で、低コストでの効率的かつ高精度な施工を実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
第6回 建設・測量生産性向上展:30年の時を経てヤンマー建機の「ViOシリーズ」に第7世代登場 小中規模のICT施工に応える機能
ヤンマー建機は、1993年の初代機から数えること30周年を迎えた「ViOシリーズ」の第7世代となる最新機種を発売した。新モデル2機種の「ViO30-7/ViO35-7」は、今後の小規模〜中規模現場でのICT建機の活用拡大を見据え、「穴を掘り、持ち上げ、旋回して、排土する」の掘削全プロセスを徹底的に見直したスペックを備える。製品動向:3D点群計測を自動化、「誰でも使える」3Dレーザースキャナーと専用ソフトをトプコンが発売
トプコンは2024年7月1日、「誰でも使える」をコンセプトに計測を自動化した3Dレーザースキャナー「ESN-100」と、専用フィールドソフトウェア「Topcon Raster Scan」を発売する。小規模な建設会社でも点群計測の内製化が実現する。スマートコンストラクション:鉄骨建方が1人だけで完了するトプコンのスマホアプリ「楽直」
トプコンは、スマートフォン向け鉄骨建方アプリケーション「楽直」を販売開始する。建築向け位置出し機「楽位置」を操作することで、1人の作業員による鉄骨建方作業が可能となる。第5回 建設・測量生産性向上展:万博工事で建機燃料をバイオディーゼルへ、建設施工分野の“GX”を提案する「西尾レントオール」
総合レンタル企業の西尾レントオールは、「第5回 建設・測量生産性向上展」で、建設施工分野の“GX”に寄与する電動ミニバックホウと、生産性向上につながる自社開発サービスも含めたロボットや建設ICTを多数紹介した。第5回 建設・測量生産性向上展:「コンストラクション」から「コンスト楽ション」へ、トプコンのハード/ソフト両面で建設ICT活用を支援するソリューション
トプコンは、第5回 建設・測量生産性向上展で7つのテーマを設け、建設業のICT活用を後押しするソリューションを紹介。最新テクノロジーを現場に導入することで、若手人材の雇用とスキル習得を促進し、建設業界の好循環の創出を目指す。GNSS:トプコン、GNSS統合データ処理プログラム「GNSS-Pro X」販売開始
トプコンは、GNSS統合データ処理プログラム「GNSS-Pro X」の販売を開始した。GNSSデータの取り込みや基線解析、点検、網平均、帳票作成といった作業が可能となっている。測量作業規程にも準拠した。第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−:スマホで誰でも一人で位置出しが可能に トプコンが考える未来の墨出し
光学技術を生かしながら、施工現場のDXを推進するトプコン。2022年12月に開催された建築総合展「ジャパンビルド」の同時開催展の1つ、「第2回 建設DX展」のブース取材から、墨出し作業の省力化を実現する「楽シリーズ」を中心にレポートする。産業動向:衛星データで地殻変動を観測、トプコンがSynspectiveとパートナーシップ
トプコンポジショニングアジアとSynspectiveは、広域の地盤変動を解析しその結果を提供する衛星データソリューションサービス「Land Displacement Monitoring(LDM)」の国内販売のパートナーシップを締結した。ロボット:5時間稼働の墨出しロボット「SumiROBO」を発売、日立チャネルソリューションズ
日立チャネルソリューションズは、建設現場での位置出し作業を省力化する“墨出しロボット”を発売する。墨出し作業が半自動化され、トータルステーションとの連携で高精度に行えるようになることで、労働力不足の解消や作業ミスの軽減、さらに夜間の自動運転で作業時間の有効活用などが見込める。