スマホで誰でも一人で位置出しが可能に トプコンが考える未来の墨出し:第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−(1/2 ページ)
光学技術を生かしながら、施工現場のDXを推進するトプコン。2022年12月に開催された建築総合展「ジャパンビルド」の同時開催展の1つ、「第2回 建設DX展」のブース取材から、墨出し作業の省力化を実現する「楽シリーズ」を中心にレポートする。
過酷な労働環境を背景にした深刻な担い手不足、現場従事者の高齢化、そして2019年に施行された「働き方改革関連法」による労働時間の上限規制の猶予期間が終わる、いわゆる“2024年問題”など、建設業界は「働く人」にまつわる課題が山積みだ。トプコンは、そうした課題に対し、IoTで挑もうとしている。
トプコンは、光学技術を基盤として独創的な技術やシステムを融合させ、IoT・ネットワークを駆使して、「医」「食」「住」領域の社会課題解決に取り組む日本の光学機器メーカー。住の領域では、測量や土木工事に用いるトータルステーションやレーザースキャナーの開発でその名が知られている。
住宅、ビル、商業/公共施設など、あらゆる建築物を対象とした日本最大級の建築総合展「第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2022年12月5〜7日、東京ビッグサイト)のうち、「第2回 建設DX展」の出展ブースには、デジタル技術で現場作業の効率化、省力化を図り、労働環境を改善するさまざまなIoT製品群を展示した。
建設現場の効率化/省力化を実現する「楽シリーズ」
トプコンブースのなかでも、来場者の関心を多く集めていたのが、「楽シリーズ」のコーナーだ。
楽シリーズは、座標抽出アプリ「楽座」、高精度位置出し機「楽位置」、位置出し誘導アプリ「楽墨」から成る。こうしたツールを組み合わせることで、「誰でも、一人で、簡単に、スマートフォンを使って墨出しできる」というコンセプトをもつサービスだ。
楽シリーズのワークフローは、まず、座標抽出アプリの楽座で、位置出しに必要なデータを作成。位置の指定作業は極めて簡単だ。スマホのアプリに図面データ(DXF形式)を読み込み、画面に表示した図面を拡大または縮小しながら、タップするだけ。図面の線の端点、交点、点、円の中心など、さまざまな要素に対応したスナップ機能があり、おおよその位置をタップするだけで、近くの対象ポイントが自動で選択されるので、スマホの小さな画面でも正確に位置を指定できる。
また、現場でCAD上の原点ではなく、現場で墨出し業者の出した墨を原点にして計測する場合があることも想定し、楽座には現場の墨をもとにした原点に、アプリ上の座標の原点を合わせる機能もある。
楽座で位置出し用データの準備を終えたら、現場に出向き、そのデータをもとに高精度位置出し機の楽位置と、位置出し誘導アプリの楽墨を使って、測定準備から墨出し作業までを実施する。
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