クレーン作業の安全確保をAIで監視、若築建設とイクシスが開発:現場管理
若築建設はイクシスと共同で、クレーン作業時の吊り荷と作業員の接近警戒システム「WIT 3rdEYE」を開発した。AI技術を活用し、カメラ画像から吊り荷の形状と人物を同時に検出。両者の間隔を算出して監視することでクレーン作業時の安全性を向上させる。
若築建設は2025年2月25日、イクシスと共同で、AIを活用したクレーン作業時の吊(つ)り荷と作業員の接近警戒システム「WIT 3rdEYE(ウィット サードアイ)」を開発したと発表した。カメラ画像から吊り荷の形状と人物を同時に検出し、両者の間隔を算出して監視することにより、クレーン作業時の安全性向上を実現する。
新システムは、AI画像認識技術により作業員と吊荷の外形を同時に認識し、離隔距離をリアルタイムで算出する。事前に設定した安全距離を下回った場合、クレーンオペレーターにはモニター表示で、作業員には腕時計型デバイスの振動で警報を発信する仕組みだ。荷物の吊り上げ開始や停止などの作業指示は、合図者専用のリモコンを介して伝達する。
安全確保と作業効率を両立
あらかじめ警戒範囲を設定する従来の安全対策システムは、吊り荷の大きさに関わらず同一の警戒範囲が適用される。最大の吊り荷に応じた警戒範囲を設定すると、小型の吊り荷に対しても頻繁に警報が発信されるため、作業員の警報に対する注意力低下が懸念されていた。また、合図者以外の作業員が十分な安全確認を行わずにクレーンのオペレーターへ指示を出し、事故が発生した事例も報告されている。
これらの問題を解決するため、今回、吊り荷の形状寸法に応じて警戒範囲を逐次決定し、合図者からの指示を確実に伝達するシステムを開発。AI技術活用により、安全確保と作業効率を両立する新たな手法を確立した。
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