パナソニック万博パビリオン「ノモの国」内覧会 光や音、空気で非日常世界を体験:大阪・関西万博(3/3 ページ)
大阪・関西万博でパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」が完成した。建築設計は建築家の永山祐子氏が手掛け、シャボン玉が集まったような有機的なデザインが目を引く、子どもたちの感性を刺激する体験型パビリオンとなっている。また、サステナブル建築も掲げ、ドラム式洗濯乾燥機「約9200台」など使用済みの家電から回収したリサイクル材料や工場から出る端材、パナソニックグループが開発した廃材を積極的に採用している。
そしてたどり着くのは、ZONE3「古木の谷」。そこには17本の古木がそびえ立つ。木々の割れ目を覗き込み、自分の結晶を台座に置くと、目の前のディスプレイに自身の感性や可能性が映し出され、結晶から美しい蝶が舞い上がる。透明OLEDディスプレイや表情分析カメラが組み込まれた古木が、体験者の「ノモの森」での行動データを「感性モデル」で解析し、その人にふさわしい色や形の蝶を生み出す。誰もが唯一無二の自分自身を映し出されたような感覚に浸ることができる。
蝶を追いかけると、突如として目の前に「ミストの滝」が現れる。極微細ミスト「シルーファインミスト」により、幅7×高さ3.5メートルのスクリーンが空中に浮かび上がる。高輝度プロジェクターが幻想的な映像を映し出し、蝶たちは滝を越え、さらなる旅へと羽ばたいていく。
最後のステージZONE4「大空へ」では、「古木の谷」で生まれた蝶が、体験者の手によって本当の自由へと解き放たれる。自分の結晶を指定の場所に置き、葉っぱのうちわで風を送ると、蝶は空へ舞い上がり、音を奏でながら他の蝶たちと共鳴する。やがて、空から直径1.3メートルのミストの輪が降り注ぎ、蝶たちは大空へと羽ばたいていく。21台の高輝度プロジェクターが映し出す360度の映像と音響が、まるで空そのものに溶け込んでいくような感覚を生み出す。
体験が終わり、結晶を指定の場所に返却すると、自分の体験結果が反映された「Unlockカード」が手に入る。裏面のQRコードにアクセスすれば、体験記録を振り返ることも可能だ。
全体を通して、すごくキレイな体験ができた。キレイとは、単に映像がキレイという意味ではなく(もちろん、映像も音楽も美しくキレイだ)、こころや身体の中がキレイになったような体験だった。子どもたちはきっと夢中になるだろう。
「未来は自分次第」パビリオンに込めた想い
ノモの国の名称は、「モノの捉え方はココロの持ちようで大きく変わる」、いわば「モノとココロは写し鏡のような存在」の思いを込めて名付られている。
パナソニックホールディングス 取締役執行役員 小川理子氏は、次世代を担う子供たちに「モノの見方を変えることで、未来は明るくなるというメッセージをどうやって伝えるかを真剣に考えてきた」と語る。
「私たち自身も、困難を乗り越えながらここまでたどり着いた。子どもたちが自由に発想し、楽しみながら新しい未来を見つけてくれることを願っている。建築や展示の細部に至るまで、大人たちが真剣に考え、全力で作り上げた空間。子どもたちにも、その熱意が伝わるはず。それぞれの感性で受け止めてもらえたら」(小川氏)。
今後は、開幕に向けて子どもたちを招いてテストランを重ねながら細部のチューニングを行うとのことだ。
2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博で、未来を担う子どもたちがどのようにノモの国を体験し、何を感じ取るのか注目したい。
「ノモの国」画像一覧: ※クリックで拡大

















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