パナソニック万博パビリオン「ノモの国」内覧会 光や音、空気で非日常世界を体験:大阪・関西万博(2/3 ページ)
大阪・関西万博でパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」が完成した。建築設計は建築家の永山祐子氏が手掛け、シャボン玉が集まったような有機的なデザインが目を引く、子どもたちの感性を刺激する体験型パビリオンとなっている。また、サステナブル建築も掲げ、ドラム式洗濯乾燥機「約9200台」など使用済みの家電から回収したリサイクル材料や工場から出る端材、パナソニックグループが開発した廃材を積極的に採用している。
使用済み家電製品のリサイクル素材を再利用したサステナブル建築
パビリオンはサステナブル建築を目指し、家電製品のリサイクル素材が多数利用されている。パナソニックホールディングス 万博推進プロジェクト 総合プロデューサー 原口雄一郎氏によると、以下のリサイクル素材が使用されているそうだ。
・リサイクルガラスはドラム式洗濯乾燥機「約9200台」分を外構部の舗装ブロックに活用
・リサイクル鉄はパビリオンで利用する鉄(付帯鉄骨、リース部分、ファサードを除く)の約82%、主な柱/梁(接合部のプレートなどを除く)の約98%にあたる「97.1トン」
・リサイクル銅は主要幹線ケーブルの銅として「約1.2トン」
「リサイクルは、私たちだけで実現できるものではなく、サプライチェーン全体の協力が必要だった。長年にわたり培ってきた家電リサイクルのネットワークが、パビリオンにも生かされている」(原口氏)。万博終了後も素材をリスト化し、解体後に再利用する計画だ。
幻想の世界へ誘う「ノモの国」――五感で感じるUnlock体験
パビリオン内の4つのZONEで構成する「Unlock体験エリア」では、子どもたちが五感を解き放ち、感覚を研ぎ澄まし、創造力を「Unlock」できる約30分間の非日常空間を提供する。筆者も童心に戻って体験してきた。
ZONE1「カガミイケの奥深く」では、まるで異世界への扉を開くかのような体験が待っている。暗闇に包まれた部屋に足を踏み入れると、高音質スピーカーによる立体音響が響き渡り、高輝度プロジェクターが光の幻想を生み出す。床から伝わる振動が全身を包み込み、音/光/振動が融合したクロスモーダル(感覚複合的)体験が始まる。
高音質スピーカーで構成された立体音響サウンドシステム、高輝度プロジェクターと連動する振動で、いつもとは違う環境の中で心が解放される瞬間を味わえる。
響き渡る声に導かれ、ZONE2「ノモの森」へ進むと、一人ひとりが特別な「結晶」を手に入れる。結晶には無線タグ(RFID)が組み込まれており、森の中に点在する岩や木のオブジェにかざせば、光や音、風が生まれる。自分の動きが森の生命と響き合うような感覚に包まれ、まるで森と対話しているかのようだ。さらに、6台のカメラが体験者の行動を分析し、無線タグとカメラの情報から次のステージの体験につながる仕掛けになっている。
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