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中国の最新“空飛ぶクルマ”で都市と空を結ぶ未来の交通 AirXが2030年に事業開始Japan Drone 2024(1/2 ページ)

中国EHang製の自律型無人機による実証実験の成功やEveとのeVTOL購入契約締結など、着実な歩みを見せるAirX。2030年の事業化を目指し、「Japan Drone 2024」で“空飛ぶクルマ”の実機展示とVR体験で未来の空の交通を提示した。

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 次世代空モビリティ(Advanced Air Mobility:AAM)の一つとして注目を集める「空飛ぶクルマ」の実機が「Japan Drone 2024」(会期:2024年6月5〜7日、幕張メッセ)で披露された。機体を展示したのは、空の交通デジタルプラットフォームを開発するAirX(エアーエックス)だ。

 AirXは2015年に設立した次世代エアモビリティの供給源となる空のインフラ構築を進めるスタートアップ企業。「空を身近に、人生を豊かに。」をミッションに掲げ、現在はヘリコプターの遊覧予約サービス「AIROS Skyview(エアロス スカイビュー)」やチャーター(貸切)サービス「AIROS」を提供している。これまでの実績を基盤に、AirXは次なる一手として空飛ぶクルマの実用化に向け、実機購入や実証実験を進めている。

EHangの「EH216-S」で、空飛ぶクルマの実用化をリード

 AirXが展示したのは、2022年初頭に購入した中国のドローンメーカーEHang(イーハン)の自律型無人航空機「EH216-S」。2023年10月に無人電動垂直離着陸機(eVTOL)の型式証明書を中国民用航空局(CAAC)からAirXによると世界で初めて取得し、中国では近い将来、社会的実装が見込まれる空飛ぶクルマだ。

EHangの自律型無人航空機「EH216-S」
EHangの自律型無人航空機「EH216-S」 写真は全て筆者撮影

 EH216-Sの定員は2人。パイロットは不要で、乗客が座席前面に設置されたタブレットで目的地を選択するだけで決められた飛行経路を機体が自律飛行する。1回のフライトで約20分飛行し、最大ペイロード220キロ、最高時速130キロに達する。設計上の飛行可能距離は30キロで、比較的短距離での運用が想定されている。

EH216-Sの搭乗シート
EH216-Sの搭乗シート
座席前面に設置されたタブレット
座席前面に設置されたタブレット

 AirXは2030年ごろの事業開始を目標に、EH216-Sの機体を用いた実証実験を重ねている。2023年6月には、沖縄県伊平屋島で行われた離島間の移動を目的とした実証実験で、海上を移動する2地点間飛行に成功。2024年3月には、茨城県つくば市の実証実験で使用し、関東で初めて空飛ぶクルマの飛行に成功している。

沖縄県伊平屋島で行われた実証実験を紹介する映像
沖縄県伊平屋島で行われた実証実験を紹介する映像

 AirXのブース担当者はEH216-Sの用途について、「飛ぶタクシーのような新たな交通手段や観光遊覧はもちろん、物資配送、緊急救命、災害対策など、幅広い分野での活用を計画している」と語った。空飛ぶクルマが単なる移動手段を超えて、社会インフラの一部として機能する可能性を見据えた計画だ。

 AirXブースではEH216-Sの搭乗体験(飛行なし)が行われ、多くの来場者が貴重な機会を求めて列をなしていた。

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