バイオマス発電の排ガス活用、PCa床版ブロックにCO2固定化 安藤ハザマ:カーボンニュートラル
安藤ハザマは、バイオマス発電所の排ガスに含まれるCO2を吸収/固定化したプレキャストコンクリート床版ブロックの製造試験を開始した。完成した床版ブロックは大阪・関西万博で耐久性能測定を実施する。
安藤ハザマは2025年1月10日、滋賀県栗東市のCPセンター栗東で、バイオマス発電所の排ガスに含まれるCO2を吸収/固定化したプレキャストコンクリート(PCa)床版ブロックの製造試験を開始したことを明らかにした。滋賀県米原市の「いぶきグリーンエナジーバイオマス発電所」の排ガスを資源として再利用する。完成した床版ブロックは大阪・関西万博のパビリオン内に設置して耐久性能測定を実施する予定だ。
床版ブロック1立方メートルあたり最大約125キロのCO2固定を実現
安藤ハザマは、建設会社や生コン工場、大学など15者で構成するCPコンクリートコンソーシアム(CPCC)の幹事会社として、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの採択を受け、2022年からCARBON POOLコンクリート(CPコンクリート)の開発を進めている。
今回の製造試験は2024年8月に開始。コンクリート材料の再生骨材をCO2固定化仮設備に投入し、いぶきグリーンエナジーバイオマス発電所の排ガスを通すことで、1トン当たり最大約60キロのCO2を固定化した「炭酸化再生骨材」と、同約335キロのCO2を固定化した「炭酸化スラッジ粉末」を製造。2つの材料を原料に、床版ブロックを完成させた。
また、完成した床版ブロックを気密性の高いコンテナに格納し、コンテナ内にバイオマス発電所の排ガスを通すことで、養生時にも排ガスを利用したCO2固定化を実施。1立方メートル当たり最大約70キロの固定に成功した。
養生後の床版ブロックには、1立方メートル当たり最大約125キロのCO2固定化を確認した。
安藤ハザマによると、現状、各製造工程のCO2固定量は一定ではないため、今後は安定的な最大量のCO2固定に向けて製造方法などを検討していく。
製造試験で製造したプレキャストコンクリート床版ブロックは、CPCCが協賛する大阪・関西万博未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」パビリオン内の通路の一部区間に設置し、CPコンクリートの舗装と構造物への今後の実装を見据えた各種耐久性能の測定を実施する。
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